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「おまえは黙ってろ」 低く紡がれる大雅の言葉に頷く事しかできなかった。 ついてこいと言われるがままに、震えてしまう脚を動かし遥人はどうにか前へと進む。 すると……校門へと差し掛かったあたりで大雅に肩を抱き寄せられた。 「っ!」 「遥人、もう風邪は治ったの?」 次の瞬間遥人の耳へと入ってきたのは、心配そうな色を含ませた聞き覚えのある柔らかな声音。 「まだ完全には良くならない。だが、当分家で面倒見るから心配はいらない」 「あれ? 二人はそんなに仲良かったっけ?」 「まあな」 それに答える大雅の声は、いつも通りの抑揚の無さで、そんなやりとりを俯いたまま遥人はじっと聞いていた。 「そうなんだ……知らなかった。宮本君は一週間、遥人の面倒みたんだって? 先生から聞いたよ。一人暮らしのクラスメイトを心配するようなヤツだと思わなかったって感心してた。でも、宮本君一人に負担をかける訳にはいかないから、今日からはうちで面倒みるよ。担任にも了承はとってある」 きっと、クラスメイトにいつも向けている爽やかな笑顔で言っているに違いない。 大雅がどこまで本当の事を知っているのかは分からないが、親切そうな玲の言葉に騙されたらお終いだ。

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