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「遥人、大丈夫?」 心配そうな顔をした玲が、遥人の傍へと歩み寄り、額へと手を伸ばしてくる。 ここ数日、無意識のうちに玲の腕から逃げようとしてはその都度痛みを与えられ、散々な目にあってきたから、体に染み込んだ恐怖には勝てず遥人はそれを享受した。 「宮本君、忍から聞いたよ。ここまで連れてきてくれたんだって? ありがとう」 「シノブ? ああ、お前の目付か」 「忍はそんなんじゃない。ただの友達だよ。あとは俺が看るから、宮本君は授業に戻って」 いつものように優しげな笑みを浮かべた玲がそう告げると、大雅はチラリとこちらを見てから「そうだな」と、短く答えた。 『行かないで』と、言いたいけれど、その言葉が声帯を揺らすことはない。 「辛かったな。先生には早退するって言ってきたから、もう大丈夫」 震える遥人を見下ろしながら、玲が優しく告げてくるけれど、細められた瞳は冷たい色を放ち、全く笑ってなどいなかった。 「ひとつ、聞いてもいいか?」 「なに?」 そんな二人に背を向け一度は歩き始めた大雅だが……ドアのすぐそばで振り返り、玲へと声をかけたものだから、何を言うのか不安になって遥人は一層青くなる。 「お前、ソイツと付き合ってるて言ってたよな」 「ああ、そうだよ」 「じゃあ、ソイツの体に巻き付いてた縄と、殴られたみたいな痣は、お前の仕業(しわざ)か?」

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