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「あのまま……あそこにいるくらいなら、失敗してもいいから逃げようって考えました。でも、こんなに早く見つかるとは思ってなくて……」  嘘をつくことも思いつかずに遥人が本音を口にすれば、頷きながらもため息を吐かれ、胸が詰まるような痛みを覚えた。 「そうか」  それに短く答えた彼は、もう一つあるソファーへ座るよう遥人に告げ、俯き加減で何か考えるそぶりをしてから立ち上がる。 「登校するのは2月までだから、学校へ行くのは実質あと4ヶ月だ」  備え付けてある冷蔵庫から瓶を一本取り出しながら、そんなことを言ってくるけど、遥人にはその4ヶ月間を耐え抜く自信がまるでなかった。  だから逃げたのだ……と言いたいけれど、瓶の蓋を開け、グラスに中身を注いだ大雅が「飲め」とこちらへ向けてくるから、言葉を止め、それを受け取り、促されるまま淡い琥珀の液体を一口飲み込んだ。 「……おいしい」 「水みたいなものだ。喉渇いただろ?とりあえずそれを飲んで、落ち着いてから話せばいい」  緊張していて気付かなかったが、言われてみれば、かなり喉が渇いていたことに気が付いた。  だから、ほんのりと甘く喉越しの良い飲み物を、何度かグラスを傾けながら、遥人はすぐに飲み干してしまう。

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