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曲1

 優しく甘く抱かれ、そのまま眠りについていた。  甘やかすのが好きな優しい恋人は、風呂にも入れてくれていたようだった。  風呂でもいやらしいことをされた記憶もある。  パジャマを着せられているから見えないけれど、首筋の痛みからも身体中に所有の印をつけられているのだろう。  首筋の噛み跡だけは消えそうになる度に新たにつけられる。  前に職場で着替えの最中に同僚に身体中の跡を見られてしまった。  ドン引きされた。  噛み傷を全身につけられたあの夜の後、だ。  キスマークなどとは言えない、かさぶたになった歯形。  そして、手足には縛られた跡もある。  「何お前・・・新しい扉開けちゃったの?知らない間にそこまで大人になっちゃったの?」  同僚が室内なので見えない空を仰いだ。  「オレがまだ彼女も出来ないっていうのに・・・!コイツSMまで・・・!」  同僚は何故かちょっと羨ましそうだった。  「で、Mっていいの?痛くないの?」  ・・・興味はあるらしかった。  彼は真っ赤になるだけだった。  身体に痕をつけるのは止めてもらいたいけど、無理だなぁと、彼は諦める。  「誰に見られるのが嫌なの?」  と男が顔色を変えるのがわかっているからだ。  独占欲。  うれしけど、困る。  目を開ける。  恋人のぬくもりがないから。  家にいるなら、彼を抱きしめているはずなのに。  まだ明け方なのに。  彼はだるい身体を起こす。  男をさがす。     二部屋とリビングしかない家だ。  隣りの部屋に男はいた。  ヘッドフォンをつけて、キーボードで演奏している。  楽譜が散らばっていた。  作曲、してるんだ。  彼は、陶酔したようにキーを叩く男をみていた。  音を組み立てている。  男は音の建築家だった。  見事な計算で音楽を作り立てていく。  平面ではない音が、立体となり積み重なるのが男の音楽の特徴だった。  そして、色のない光のような音。  でも今はヘッドフォンなので聞こえないし、見えない。  でも、男の表情が素敵だと思って、彼はみとれた。  音楽が大好きなのだ。  そう思った。  男が彼に気付くまで、彼は男に見とれ続けた。  男は笑った。  邪魔をしてしまった。  彼は慌ててベッドに戻ろうとする。  男は手招きした。  おずおずと近寄る。  抱きしめられた。  男が座った椅子の、脚の間に子供のように座らせられ、背後から抱きしめられる。  「無理させちゃったね?」  そう言う癖に、男は彼の首筋につけた噛み痕を執拗になめる。  「もう・・・ダメ」  明日は夜勤だけど仕事がある。  肉体労働なのだ。  動けないのは困る。  「・・・あ~あ」  男は残念そうだ。  でも、パジャマの下に手をいれて、胸を撫でたり、乳首を摘まんだり、イタズラはやめない。  軽いイタズラは、どんどん濃厚になっていく  「ダメって・・・ああっ」  彼は喘いでしまう。  そんな乳首を摘ままれたら、指でつぶされたら、やわやわと胸をもまれたら・・・。  勃ち上がっていた。   「じゃあ、出すだけ。手でして上げるから、後で僕のくわえて?」  男の指はもうズボンをずらし、彼の下をしごきあげていた。  下着を着せられていないことに彼は気づいた。  胸を指で弄られながら、前をしごかれる。  先の穴まで広げられるようにこすられた。  「あっ、それ、いい・・・」  彼はつぶやく。  良ければ申告するようにすっかり躾られていた。  「先っぽ好きでしょ」    ささやかれる。    指は淫らに動き、こすりたてられた。  「気持・・ちいい、あっ、いい・・・」  喘ぎ続ける。  男の指には逆らえず、彼は簡単に達した。  ティッシュやウエットティッシュで綺麗にされる。  「・・・して。僕を気持ちよく」  ささやかれる。  恋人がパジャマをずらして、それをとりだした。    パジャマから取り出された、恋人のものも勃ち上がっていた。  椅子に座ったままの恋人の股間に、顔をうずめた。  大きなそれを握り、舌で上から下まで舐めた。  裏筋を丁寧に舐めあげる。  恋人の息が荒くなるのが愛しかった。   咥える。   唇で先からしごいていく。  舌もからめ、吸いながらしごく。  「・・・すっかり上手になっちゃって・・・」  恋人は困ったな、と笑う。  これでは余裕が、なくなってしまうと。  嬉しかった。  スピードをあげていく。  大きすぎて入りきらない。  懸命に咥える。  「・・・ゴメン」  恋人が低く呻いて、彼の頭を抑えつけた。  もう慣れた。  恋人は酷くしないと口ではいけない。    苦しくないわけではない。  でも、恋人が気持ちいいのだと思えば耐えられる。  喉の奥を犯されるのに耐える。  苦しくて、泣きながらその顔を見上げる。  彼を苦しめていることに傷ついているようで、でも快楽に溺れた恋人の顔。  この顔が愛しいから、耐えられる。  放たれ、相変わらずひどい味のそれを飲み下した。  むせながら、さらに残ったものを綺麗にするように恋人のものを舐めとる。  恋人の嬉しそうな顔。  結局、これがみたいのだ。  恋人はむせ、えずく彼にミネラルウォーターを渡してくれた。  「ひどい味」  彼はいつものセリフを言った。  男はいつものように笑った。  

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