14 / 420

第14話

次の日の朝の事。 窓から差し込む光で目を覚ます。 朝だ…。 夜が明けるまで熟睡できたなんて、彼と別れてから初めての事だった。 今、何時だろう…。 乾燥してしまって上手く目を開けられない。 パチパチと瞬きを繰り返しながら手探りでスマホを探す。 「起きたのか、環生(たまき)柊吾(しゅうご)の声だった。 「……!!」 まだ半覚醒だった俺の脳は一気にスイッチオン状態になった。 俺は柊吾の脚に自分の脚を絡めて、抱き枕に抱きつくみたいにくっついていた。 「ご、ごめん…!あっ…うわぁぁ!!」 大慌てで体を離したら、勢い余ってベッドの下に転がり落ちた。 「大丈夫か、環生」 尻もちをついてしまったから痛くて起き上がれない。 「無理。痛いよ…」 「だろうな。漫画みたいな落ちっぷりだったぞ」 柊吾は、笑いながら俺を助けてくれた。 「気分はどうだ」 「あ、うん…」 俺の事、心配してくれるんだ…。 昨日あんなに迷惑をかけたのに。 「柊吾のおかげで朝までぐっすり」 「そうか。それなら今日もここで寝ろよ」 「…いいの?」 そこまで甘えてしまっていいのかな…。 でも、そうしてもらえたら嬉しい。 まだちょっと一人で夜を迎えたくないから。 「あぁ、お前泣き虫だからな」 言葉も眼差しも全部が優しい。 胸がキュンとした。 こんなに優しくされたら好きになってしまいそう…/// 「ありがとう…」 「ん…。起きるぞ。朝メシの時間だ」 柊吾はそう言いながら俺の手を引いた。

ともだちにシェアしよう!