39 / 420

第2章 第7話side.麻斗

〜side.麻斗(あさと)〜 桜色に染まった柔らかな環生(たまき)の頰に触れる。 緊張で潤んだ汚れのない瞳。 頰へのキスや軽いハグは受け入れてくれるようになったけど、きっと恋人でもない男とキスしたり、体を重ねたりするのは抵抗があるタイプだろう。 だから、怖がらせないように少しずつ。 いい?と目配せすると小さくうなずくから、頰にいつもしているようなキスをした。 何度かキスをしながら少しずつ唇を移動させていく。 察した環生は恥じらいながらそっと瞳を閉じた。 その姿があまりにも可憐で、恋でもしているかのような胸の高鳴りを覚えた。 環生と初めて交わしたキスは、想像以上に柔らかくて温かくて甘かった。 あぁ、この唇は中毒性がある…。 「可愛いよ、環生」 啄むように何度もキスをすると、環生からも遠慮がちに唇を寄せてきた。 自分の意思でそうしてくれたのが嬉しくて、いい子いい子をするみたいに頭を撫でた。 「麻斗さん…///」 恥ずかしそうに微笑むから、何度でもしたくなる。 合間に環生を見つめながら下唇を食んでみたり、少しだけ舐めてみたり…。 何をしてもうっとりした表情で俺を見つめている。 唇を離そうとすると、きゅっと俺の手を握って甘えるように続きを求めてくる。 この子、キスが好きなんだ…。 こんなに甘えたがりなら、ここへ来てから今まで淋しかっただろう。 エッチな夢を見て体の熱を持て余す前に、もっと早く誘ってあげればよかった。 泣かせたくなくて、大事にしすぎてしまった。 秀臣(ひでおみ)柊吾(しゅうご)と、『いつか皆で環生とセックスしよう』と話し合い、それぞれに声をかけるタイミングを見計らっていた。 でも、環生が俺たちの性癖を知ったら逃げ出してしまう気がして、誰も勇気が出なかった。 環生のいない生活なんてもう考えられない。 環生は俺たちにとって、かけがえのない存在だから。 安心させるように手の甲を撫でながら少しずつ唇が触れる時間を長くしていく。 「舌…出して」 見つめながら囁くと、イチゴみたいに真っ赤になった環生がためらいながら小さく口を開けた。 今まで舌先が可愛いなんて感じた事あるだろうか。 とにかく環生は何をしても、どこを見ても可愛くて可愛くて仕方なかった。

ともだちにシェアしよう!