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第3話

 疾風は家に帰宅するといつものお泊りにリュックを手にして、翼が住むマンションへと向かうのだ。  実家から翼の家までは電車で三十分通学の時のように疾風は電車に乗る。  今、十六時を過ぎた辺りで、電車には然程乗客はいないようだ。 そう疾風がゆっくりと座れる位だからだ。 寧ろ郊外から都心の方に向かうのだから、そう混んではいないということだろう。  疾風は座れたことに安堵し携帯でゲームを始める。  朝の通勤時間帯とは違い静かな空間。 そして電車の揺れと心地よい気温。 どうして電車というのは、こんなにも丁度いい気温なのであろうか。 だからなのかたまに寝ている人を見かける。  だが疾風は電車の中で寝ることはしない。 痴漢に合いやすいという理由もあるのだが、痴漢の他に電車での犯罪はスリである。 そういうことが心配で寝れないのかもしれない。  疾風が電車に揺られて三十分後。 翼が住む最寄り駅に到着する。  時間は十六時半。  社会人の翼は、まだ仕事の時間だ。 だが疾風は翼に合鍵を貰っているのだから問題なく翼の家に入ることが出来る。  とりあえず翼の家に行く前に夕飯の買物をして行こうと思いスーパーへと入って行くのだった。  翼は何でも出来るから、料理も出来たりする。 だが疾風も翼の家に通うようになって先に家に居ることが多いのだから作るようになった。 今はネットっていう便利な物があって、それを調べれば何だって料理が出来る時代だ。 だから疾風は翼の為に料理をしている。  きっと普段の日は仕事で帰って来て料理をすることはあまりないのかもしれない。 疲れて帰って来て料理したい気分にはならないであろう。 コンビニ弁当やスーパーで買った惣菜がメインなのだから。  翼の家に毎週行ってるのだから母親が作った料理を持って行く時もあるのだが、今日は持って来ていなかった。

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