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第17話

「ど、どうして……お前はそういうことばっか聞いてくんのかなぁ?」 「そりゃ、普通にやったんじゃ面白くないからでしょ。 じゃあ、お兄ちゃんはマグロでいいの?」  その質問にも答えられないでいる翼。  そんな翼に疾風は微笑むと、 「そういうこと!」  疾風は翼の弟なのに、本当にそういうところでは言葉が上のような気がして仕方がない。  兄としては色々と負けたくはないところなのだが、こういうことでは本当に勝ったことがないっと言っても過言ではないのかもしれない。  翼は再び溜め息を漏らす。 「……で、体位はどうすんの?」  そう怪しそうな笑みを浮かべながら、疾風は翼のことを見上げる。 「あ、だから……そ、それは……」 「今日はお兄ちゃんにそこは譲ってあげるよー! バックから? それとも正常位? 立ちバック? って色々あるんだけどねぇ」  そこまで恥じらいもなく言われると困るのは翼の方だ。 弟というのは兄弟の中でも下で甘え方をよく知っているらしいということを聞いたことがある。 だからなのか、疾風は甘え上手でもある。  そして長男の方というのは真面目な性格の子が多いと言われている。 だから、そういう風に聞かれると余計に恥ずかしさが増すのかもしれない。 「疾風……その質問の仕方……ズル過ぎ……」 「何で? じゃあ、僕の言うこと何でも聞いてくれる? ま、どっちかにしてよねぇ。 僕の言うことを聞いてくれるか? お兄ちゃんがどの体位にするか? ってことなんだけど……」  その質問だって、ある意味、翼からしてみたら究極の選択だ。  そして確かにさっき疾風が言った通りにこういう行為はマグロでは楽しめないのも疾風はよく知っていることだ。 もう何回と何十回と翼は疾風と体を重ねてきているのだから。

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