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第2話

 そして今までモテたことがない薙。 特にいい顔っていう訳ではない。 ただ一般的に考えたら、割と普通の男子なのだけど、そうもしかしたら身長が低いっていうのが女子からしてみたら難点なのかもしれない。 そう薙の身長というのは百六十センチ位しかないのだから。  そこは男としていいのか悪いのかは分からないのだが。  しかし薙の方は女性にモテようとは思ってはいなかった。  薙は小さい頃から男性の方に興味がある。  だから勿論、初恋は男の子。 ーーーーーーーーーー  あれは小学校六年の時だった。  クラスで一番カッコよくて女の子にはいつも黄色い声を上げられていた男の子。 そんな子に薙は恋心を抱いていた。 初恋というのは実らない物だと思っていた。  でもその男の子とはいつも遊んでいた薙。  いつものように空き地や川で遊んでいると、草むらの中で、何やら怪しい本を見つけ二人でその本を見ていた。 それは大人向けで子供の薙たちからしてみたら、十分に興奮する物でもある。  その本の内容は男同士の大人の本で、しかも子供からしてみたらかなり刺激のつよい内容だったのであろう。 その本を見ているうちに段々とおかしな気分になって来る二人。  どうやらその初恋の相手もそういう気分になったのか二人は、本に載っていることを隠れて見よう見真似でやってみるようになっていた。 それが気持ち良かったのか二人は放課後遊ぶ度にその行為を来り返して遊んでいたのだ。  それが薙にとっては初めての行為だった。  だが小学校卒業と共にその初恋の相手というのは有名校に進学してしまい、離れて行ってしまう。 そして二人だけの秘密のその行為に終止符が打たれてしまう。  それから薙は自分での行為も覚えたのだが、やはり二人での行為を覚えてしまった体は何だか気持ち良さが足りないような気がしていてしまっているようだ。  それでも相手がいない薙は仕方がなく中学、高校と相手が出来る訳もなく一人でやる日々だった。 ーーーーーーーーーー  薙はいつものように朝六時に仕事を終わらせると家に帰る。  薙は築何十年という、おんぼろアパートに住んでいた。  そこは一応トイレは部屋内にあるのだがお風呂は共同。 だから家賃が安いという事だろう。 勿論、部屋内は狭い。 入って直ぐ右手にキッチン。 その奥に部屋はあるのだが1Kで六畳だ。  大学の学費は親に支払ってもらっているものの家賃と食費は自分で稼がなきゃならない為、こうやって毎日のように夜中のコンビニでバイトをしている。  そう夜のバイトの方が時給がいいのだから家賃代と食費代と光熱費を払って後は遊び代には回せる程だ。  帰宅して時間になると大学に向かう。  寝るのは大学から帰って来てバイトの時間まで寝て位なのかもしれない。 若いのだから多少寝ない位は平気だという事だろう。  薙はそんな生活を送っていた。

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