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穴と言う穴でシュールストレミング食わせてやろうか。

「プロジェクト終了後の打ち上げも兼ねてだよ?」 脳内錦が目の前のタラコ唇に切り替わる。 最悪な気分だった。 動く唇を見て、無性に目の前の顔を殴りたくなるが気のせい気のせいと言い聞かせる。無駄な事はしてはいけない。 「終了はしていませんよ」 「コンサルティングは完了したでしょ」 「またまたご冗談を。スケジュールを把握されていないのですか。現在はフォローアップ中です」 「フォローアップなら完了でしょ」 「プログラム開始の際、アナリストのまとめたデータ確認されました? 大きく傾いた事業が数カ月で生き返るわけないでしょう。頭を守る毛が減った所為で、脳味噌まで弱ってるんですか? 弱るのは毛根のみに留めといてください」 かちかち山の兎よろしく、その禿山に火でもつけてやろうか。 デスクに頬杖をつく今田の顔を見つめ返すと目が合う。 無言で見つめれば、ふっと眼をそらされる。 頬杖をつき上目使いが可愛いのは我が義弟の錦だけだ。 頬杖を付くことは行儀が悪いと考えていて、基本そんな仕草しないけど頬杖をつき上目遣いが可愛いのは錦だけだ。 考えただけで分かる。 海輝は一方的に今田を憎んだ。 お前、何錦君の真似してるんだ?  そんな風に振る舞えば、笑顔で頷くと思ってるのか。 僕に我儘を言って許されるのは錦君だけだ。 穴と言う穴でシュールストレミング食わせてやろうか。 錦に飢えていた海輝は、地肌が透ける頭頂部を見下ろし意味も無く思った。

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