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運命の相手

「こいつが竜神のいうりんの運命の相手か。へぇ~なかなかイケメンじゃねぇの。でもパッと見、女たらしで遊んでいそうなチャラ男みたいな感じだが」 「白鬼丸、見た目で判断しない」 「案外既婚者かも知れんぞ。一夫多妻が当たり前だ。何人も妻がいたりして。世の女がほっとくわけないだろ」 「僕は竜神さまを信じる。白鬼丸、悪いけど服を脱がせるのを手伝って」 「なんだキスマークがあるか確認するのか?」 「違うってば」 「あれがデカイか小さいか見るのか?」 「それも違う。服が濡れているし、あちこち破れているから直そうかと思って。白鬼丸、お願いだから変なことを言わないで」 「別に変なことじゃないだろ?」 頬が燃えるように赤くなっているのがわかって、慌てて顔を逸らした。 「白鬼丸、この時代に弟切草ってあるかな?」 「藪から棒になんだ」 「弟切草はなんにでも効く万能薬だっておばあちゃんが昔言ってたから」 「翠鳳に聞いてみる。ちょっと待ってろ」 白鬼丸がすぐに聞きにいってくれた。 悪い夢でも見ているのか男性はずっとうなされていた。一時間ごとに手拭いで額の汗を拭ったり、首もとを拭いたりしていたら、 「りん、どうだ?」 日が暮れてから翠鳳さまが心配して様子を見に来てくれた。 「青草のことだと思うが都を一望できるところに咲いているのがそうだろう。白鬼丸、明日黒檀に連れていってもらえ」 「翠鳳さま、僕も行きます」 「りんは怪我人のそばにいてやれ。獲物を横取りされ鵺がまだ諦めていない。取り戻しにくるかも知れないからな。りんがいれば迂闊に手を出すことは出来ない」 「翠鳳さまは彼が何者かご存知なんですか?」 「何者かまでは知らぬが、誰も近寄らないあやかしの里に一人で何度も来ている。追い返されても諦めない。なかなか度胸がある」 「もしかしたら翠鳳さまにお願いしたことがあったのかもしれません」 「憎いあやかしどもの長である俺を殺したいとだろ?根も葉もないたわことに騙されて。だから人間は嫌いだ。りんは別だがな」

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