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第8話 3回目の練習

気まずくなってしまった。 「まあ、俺にできることがあるなら協力するよ。」 それが何かは全くわからないけど。 「……じゃあさ、練習付き合ってよ……。」 「え……ああ。」 今?このテンションで? ハルマが近寄って来て、キスをする。 ハルマからゆっくり口の中を舐められる。 上顎から舌の裏まで。 ハルマを好きな女なら、あの澄ましたハルマからこれだけ求められて舐められたら気持ちいいだろう。 かくいう俺も、ハルマの吐息と丁寧な舌使いに興奮してきた。 さっきはその気になれるか自信がなかったのに、なんて現金な奴だろう。 俺もハルマの唇を吸い始めた。 「あ……っ。」 さっきまで男らしいオーラでココミちゃんをキュンキュンさせていたハルマが、今やこんなにふにゃふにゃになっている。 楽しくなってきて激しくハルマの唇をもて遊ぶ。 「ん!ふぁ……っ……。」 満足するまでハルマの唇を楽しんで、ハルマを抱きしめる。 「……練習になってる?」 「……うん。どうしたら気持ちよくなるか、わかってきた……。」 そんなこと考えながらやってたのか……。 器用だな。 「でもさ、ぶっちゃけ練習したいのは…ほら、入れるとこだよね……。それはちょっと……流石にハルマに入れられるのは、俺は男として受け入れがたいところがあって……。」 ハルマとの練習が始まってから、気になっていたことだ。 検索してみたが、お尻とか痛そうだし、流石にハルマにそんな格好見せたくない。 「……リョウスケが、俺に入れればいいよ……。」 「え?でもそれじゃ、練習にならないだろ?」 「……される側になれば、どうすればいいかもわかるだろ……?」 ハルマは伏目がちに言った。 なんという向上心。 練習とか言いつつ、結局性欲発散をしているだけで申し訳ない。 「ハルマが……それでいいならいいけど、でも、なんて言うか……俺でいいの……?」 キスくらいなら、まだまあまあいいかもしれない(?)が、入れるのはなかなかに、なかなかだ。 「……他に頼める奴がいるわけないじゃん……。」 「まあね……。」 理屈はそうなんだけど。 ――――――――――――― その日は、いずれそういう練習もしよう、という話だけで終わった。 帰り道、カップルや、男友達同士で歩く人たちを見る。 どうやったらカップルになれるんだろ? あの友達同士でヤッたことがあるのは、どれくらいいるんだろ? など、しょうもないことを考える。 それにしても、ハルマの好きな人は誰なんだ。 練習で知らなかったとは言え、ハルマのファーストキスを奪ってしまった。 ハルマはそれで良かったんだろうか? 下手でも、初めてはちゃんと好きな人が良かったんじゃないだろうか。 そう考えたらお尻も……。 勝手に女の子が好きだと思っていたけど、もし男が好きなら、やっぱり大切にしておいた方が……。 ハルマが案外男もいけそうだと知って、新たな可能性に気づいた。 そうか、アイツは男を好きになってしまったのかもしれない! なら、言ってたこともわかるし、俺に練習を頼むのもわかる! 合点がいった。 ハルマがそんなハードな恋愛をしていたとは知らなかった。 応援しよう。 ハルマが他の人とは違う選択をしたとしても、俺はいつでも味方だ。 それは、幼馴染であいつをよく知っている俺にしかできない。

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