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ショートケーキ

 二人は目的だったアウトドア用品が揃っているショップへやってくると、まずは寝袋を選び始める。  思っていたよりも種類が多くて、どれがいいのか全くわからない。 「コンパクトにできて、保温性があって、軽くて、防水で、丸洗いできるのがいいってネットに出てたけど……」 「調べてきたの?」 「ちゃんとした買い物だし、それなりにね。僕は、これにしようかな。軽いし、保温性良さそうだし」 「渉、寒いの苦手だもんな」 「うん」  こういう時の決断力というか、自分が買うと決めている物に関して渉はほとんど迷うことがない。そういうとこ、良いなって思う。 「じゃあさ、俺も同じやつにしていい?」 「いいよ」 「渉は何色にする?」 「赤かな。直之は、オレンジ?」 「……にしたいとこだけど、今回はカーキにしようかな」 「いいね」 「よし、これで寝袋は決定だな。次は、ウィンドブレーカーっと……」  直之がアウターコーナーへ移動する中、渉は食器コーナーへ向かった。それぞれが別の場所で別の物を探しているのも悪くない。お互いに気を遣いながら過ごすより、のんびりと自由に動き回れる時間がある方が飽きないからだ。  何となく欲しい色合いは決まっているから、あとはどんな感じの厚さや形にするかってなってくる。  一応、夏と冬にキャンプイベントがあるという話だから、冬にも対応できるものがいいということで、取り外しのボアがついているものにすることを決めた。  色は、ベージュと黒のバイカラー。決まったアウターを手に取り、渉のいるところへ近づいていく。 「いいのあった?」  静かに隣に並ぶと、決して顔をこちらに向けることなく聞かれた。 「夏でも冬でも着れるように、ボアが取り外せるやつにした」 「へえ、いいじゃん」 「渉は? 良さげな食器あった?」 「これなんかどうかな?」  そう言って、見つけていた商品の元へ行くと、手に取って見せてくる。  コンパクトに収められた円形の蓋を開けると、中からコップ、お皿、お箸、スプーンにフォークが出てきた。有名なメーカーのものらしく値段は少しするけど悪くない。 「いいじゃん」 「良かった」 「これの色違いにしよ。渉は赤?」 「うん」 「じゃあ、俺はオレンジにしよ」  お互いに目当てのものを手に取ると、レジで精算を済ませた。  初めは訳もわからずに入ったサークルだったけれど、いざ参加してみれば良い先輩や同学年の奴らの集まりで、気がつけば楽しく過ごしている。

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