幼子が最愛の人を奪われ、過ごすこととなる激動の日々(コメント欄へ続く)
【物語は】 主人公がある理由により、義兄にマンチェスターへ連れてこられたことより始まる。そこで出逢った女性こそ、主人公の人生を左右することとなる。一部では、義兄よりその女性へ、主人公が何故にここへ来ることとなったのか、その境遇が語られその後の人生は、二部により、恋人との会話によって語られていくこととなる。母が確かに望んで産んだ子供であり、愛されたものの、他の大人たちによって母子は引き裂かれ、幼子は受けるはずだった母からの愛情を受けることなく、成長していく。涙なしには読むことの出来ない作品である。 【早熟な精神】 幼いながらに、必死で母を守ろうとした主人公は子供ながらに、子供とは思えないほどの頑なさを秘めていた。本来なら、のびのびすくすく育つであろう年ごろに、自由を奪われる。大好きな母に会うことすら出来ない日々。義兄は後から後悔することになるのだが、二人を守りたいと願いながらも、段々と自分の事情で手一杯となっていく。しかし、誰が彼を責めることが出来るであろうか。親であるはずの父は何もせず、その身勝手さに、憤りを感じぜずにはいられないであろう。 【物語の構成】 一部では、女性と兄の会話で、境遇を語ることに案るのだが、気づけば物語に深く入り込んでおり、二人の会話からいつの間にか回想へ入っていく様がとても滑らかで、まるで目の前で見ているような錯覚すら起こす。文化的などもとても詳しく書かれており、(例えば服など)今自分が日本にいることを忘れるほどに、トリップすることが出来る作品だ。 【それぞれの愛の在り方】 この物語には、様々な愛のカタチがある。恋人同士の求め合うようなものもあれば、母が子を一心に守ろうとするような自己犠牲の愛、許されない関係もあるし、冷めきったもの、無関心なものなど。それが複雑に絡み合い、主人公の人生を波乱に巻き込んでいく。信じられるものは本当に自分のプラスになるような人間だけ。周りは敵だらけという境遇で育った主人公に恋人がいたことをし、ホッとしたりもする。