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第3話 -7

 何か行動しながら過ごしていれば、50分の昼休みなんてすぐに終わってしまう。  名残惜しそうな光達は先に帰らせた。共に階段を下りれば関係性が知られてしまう。見つかってしまえば最後、静かに過ごしたいという自分の希望は叶えられなくなる。  予鈴が鳴り、そろそろ戻るか。そう思い重い腰を上げる。そこで通知が鳴り携帯を見ると、それは時雨からの連絡だった。 『地学室前のトイレ』  来い、ということだろう。  無断で授業を抜け出すなんてことしたことはなかったが、どうせ寝ているのだからいてもいなくても同じこと。行かなければ誰に何を吹聴されるかわかったものじゃない。弁当箱と本は出入り口前の踊り場に隠し、人気のない四階地学室前にある男子トイレに移動した。 「伊野波、いるのか」 「あー、来た来た」  時雨は一番奥の個室に入っていた。悟志の声に扉を開け、招き入れる。  早く戻りたいと態度に全面に現れている悟志の様子に、させないと頬を撫でた。 「汚れるの嫌だし挿れるなんて言わないよ、今日は。お前何ならできる?」 「……何もする気はない」 「九条から動いてくれないなら俺口走っちゃうかもな」 「……」  とことん性格の悪い男だ。一瞬でも好感を持ったのが間違い。悟志は暫し迷った末、唇に噛み付く。 「散々あいつの好きにされて、身体が動かなくなるようにされてるから俺はこれくらいしかできない」 「開発済みなわけだ。それでもいいよ、フェラくらいならできるだろ?」 「したことがない」 「ならこの口で咥え込むのは初めてってことか。流石に此処じゃセックスできないし、俺のことイかせられたら今日は黙ってるからしてよ」  時雨は動かず、床を指差す。プライドを打ち砕こうとしているようだ。もう父との関係も知られてしまっている相手に守る矜持なんてない。悟志は時雨の下腹部に触れ、ベルトを外す。この個室に入った時から既にわかっていたが勃ち上がり布地を押し上げているそれを露出させ、その場に座り込んだ。  汚いのももう慣れている。それが今日口に初めて入るだけ。後で洗えばいい。嫌悪感と特有の臭いに正直吐きそうだ。それでも、父との関係がこの学校にいる他の誰かに知られるよりはいい。光に知られないのなら、なんだって。  悟志は、いつも父にされているように時雨のそれに触れた。先端に口づけを落とし、横から唇で食む。自分から動くのならまだ身体は動かせる。歯を立てないよう、舌と唇で触れていった。  時雨の唇から掠れた声が漏れる。早く終われ。その一心で食み、咥内で扱いた。

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