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第3話 -12

 執拗なまでに指で解しながら、何度もキスをする。キスだってあの男は事後に穢した優越感に浸るために嬲るようにしてくるだけだった。こんなにも何度も唇が触れ合い、優しく触れられることに違和感しかない。  何処を見ても男でしかない自分を抱く相手なんてそう変わらないはずなのに、何もかもが違う。無理に暴かれてもいないからかいつもは人形のように動かなくなる身体が動く。時雨に縋っていた手は離れ、頰に触れた。 「なぁ、まだか?」 「まーだ。毎日されてるって言うからすぐできるかと思ってたけど、まだ2本しか入ってないのにきっつきつだし」 「も、いいから、早く」 「駄目だよ。俺はレイプしたくないし、もっと気持ちいい方がお前だっていいだろ?」  これ以上なんて、頭がおかしくなってしまう。悟志は時雨の頭を抱きしめ、ふるふると首を振った。  それでも、時雨は指での愛撫をやめなかった。空いている手で肌を撫で、頭を抱きしめられている状態のまま指を増やし、前立腺を軽く押す。 「っひ、ぁ」 「頭離して。抱きつかれんの嬉しいけど、キスできないじゃん」 「ぁ、ん、ンッ、ぅあ」 「くーじょーう、離して」 「いく、いくから、嫌だっ、それ嫌」 「イっちゃえよ。まだ俺しかイってないじゃん」  肌を撫でていた手がそれに触れる。後ろは絶えず解されたまま、数回扱かれただけで悟志は達し、腕を離した。  白濁の欲望を爆ぜさせ、下腹部がびくびくと何度も痙攣する。それだって父親が好んで躾けた結果過度に反応するようになってしまったもの。触れていないのに震え、まだ芯を持ち続けているそれの周りだけを指で撫で、いつの間にか4本に増やしていた指を引き抜き見せた。 「こんなに入るようになったし、もう挿れるね」  何でもいい。早く犯されたい。何も考えられなくなりたい。  悟志は頷き、自ら足をより開きそこに触れやすいよう手で双丘を拡げて見せた。これは躾けられたものではなく、自分で望んでやっていること。だが時雨にはそれも伝わらない。手早く避妊具を装着した熱の先端で解していた後ろの襞を撫で、ゆっくりと埋め込む。先端を飲み込んだ悟志は、異物感こそあるものの痛くない初めての感触に鼻から吐息を漏らした。

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