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初めての恋人

「もう、そろそろ大丈夫かな?」 「…え?」 僕がそう思っていると英輔さんは一旦、僕の太腿から手を離して、掛けていた布団を捲ってしまう。 そして、英輔さんは僕の上に跨ると、 「本当に平気?」 「あ、え?うん…」 そう自信なさそうに答える僕。 また、胸の鼓動が最高潮になってくる。 それは恋の鼓動ではない。緊張の高鳴りだ。 ただ今は本当に緊張でしかなかった。 これから、本番だと思うと絶対的に僕の鼓動は鳴り止むことはないだろう。 深呼吸をして、両腕で自分の顔を隠してしまう。 これだけが僕の最後の抵抗みたいなものだ。 …終わらせるなら早く終わらせてくれ…! というのが僕の今の気持ちだろう。 そう思っているうちに英輔さんはさっきのように頬や額にキスをしようとしているようなのだが、どうやら、僕の腕が邪魔をしているらしい。 「ん~…君の事を気持ち良くして上げる事が出来ないから、腕をどけてくれると助かるかな?それとも、私が退けてしまってもいい?」 「ん…ぁ…はい…」 思わず英輔さんの言葉に返事をしてしまっていた。 だからなのか、英輔さんは僕の腕をそっと優しく退けていく。 「あ…」 そうする事で、英輔さんと僕は目が合ってしまっていて、思わず口にしてしまっていた。 「君、可愛いんだから…顔見せてくれないのは…勿体ないんだけど…」 そう笑顔で言う英輔さん。 こんな近場でしかもまともに英輔さんの顔を見てしまった。 確かにさっきも英輔さんの顔は見たのだけど…さっきとはまた違うように見えるのは気のせいであろうか?あ、いや…さっきよりももっと近くに英輔さんの顔があるのだから、今回は本当にまともに英輔さんの顔を見てしまっているのかもしれない。 本当に英輔さんの顔は爽やかな感じだ。女性受けする顔に決まっている。いや、絶対に女性にモテる顔をしていた。なのに、何で、英輔さんはこんな僕とやろうとしてるんだろ?女性には困らないタイプだろうと思うのに…。 でも、もう1回しか会わないのだから、そこは気にしなくていい事なのかもしれない。 と思い、その疑問は心の中にしまっておく。 …ま、また、機会があれば聞いてみようかな?
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