4 / 16

再会

エクセリアはドラゴンやコボルトなどの他種族をも受け入れ共存している。 海中の民であるマーマンとも友好関係を持っているのと高い技術力により世界でも高水準の水軍を保有していた。 エクセリアは陸路ではなく、この最新鋭の水軍でアルべニアの王女を迎えにきた。それはアルべニアを狙うサバニア王国へのけん制にもなる。 ヴァレリーはブリジットの代わりということで、ドレスを身にまといヴェールを被り顔を隠して軍艦に乗り込んだ。 エクセリアに到着までの居室として通された部屋はたぶんこの日の為に改造されたようで軍艦の見た目の無骨さとは逆に、赤を基調にしながらも調度品にいたるまで上品にまとめられていた。 本当は甲板にでて海を眺めたいと思ったが、うかつなことをするわけにはいかず部屋についている窓から外を眺めていた。 三日ほどでエクセリアの城が見えてきた。アルべニアの城とは比べ物にならないほどの壮大な城だった。 城内に入るとテオドール自ら出迎えてくれた。ヴァレリーはうれしくて色々と話をしたかったが今はブリジットということになっている。うつむいているとテオドールが膝をおり手をとって 「お待ちしておりました。顔をお上げください」 王がそう言っているのを無視するわけにはいかず、おそるおそる顔をあげると 一瞬驚いた顔をして 「あなたでしたか、よかったです。」 「婚礼は次の満月の日になりますので、それまでゆっくりなさってください」そういってその場から立ち去っていった。 想像以上に颯爽とした風格を兼ね備えた王の姿に心臓が破裂しそうなほど高鳴った。 ヴァレリーの部屋として案内されたのは天蓋のついたキングサイズのベットに、高雅なソファセット、細かい彫刻が施された机と椅子のセットにチェストやサイドボードなどの調度品も目を見張るほどの美しさだった。 バルコニーも広々として、あの塔の部屋が一室入りそうなほどだ。 外の空気を思う存分吸えるということがうれしくてバルコニーにでると城下には放射状に広がる美しい街並みが広がっていた。 テオドールはこんなすごい国の王なんだ。 僕などはあの方にとっては小さな存在で、アルべニアを助けるための政略的なものでしかないのかもしれない、そんなことを考えながら ぼんやりと街並みをながめていると 「ヴァレリー様、晩餐でございますのでお召替えを」 そういって二名の部屋係が入って来た。 二人はナキアとゾエとそれぞれ名前を名乗り支度を始めた。 正絹で出来た柔らかくて着心地の良いドレスを着せられダイニングルームに連れてこられた。 テーブルにはすでにテオドールが座っていた。 「あの・・・遅くなりました」 「いいえ、大丈夫ですよ、それよりも船旅でお疲れでしょう、今夜はゆっくりとお休みください。」 「それから、クローゼットにはブリジット嬢の為の衣装をそろえさせていたので、ヴァレリー様用の衣装は明日にでも揃えさせます」 えっ! 名前を憶えてくださっている? というか、来る人物が違っているのに驚いてないの? 「あの、ブリジットではなくて僕がここにいることに驚かれないのですか?」 それとも、だれでもよかったということなんだろうか? 「充分驚いてますよ」 そういってにっこりとほほ笑んだ。 「婚礼の儀までゆっくりとお過ごしください」 わからないことがあれば二人にきいてくださいね、そういって視線を先ほどの二人に向けた。 「ありがとうございます、テオドール王」 「テオドール王とはかたぐるしいですね、夫婦となるのですから、わたしのことはテオと呼んでください」 「テオさま・・・あの・・僕はヴァルと呼んでください」 「ヴァルですね、わかりました」 「それから“さま”もいりませんよ」 食事が終わって自室に戻る。大きなベッドに身を沈めながら テオが僕の名前を憶えていてくれた それだけで十分に幸せだ。
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!