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迷子の柴犬オメガ

(ボクみたいな可愛いオメガに番がいないなんておかしい!)  ボクは番を求めて夜な夜な街を彷徨っていた。   とある科学研究所で爆発事故が起きた。  遺伝子研究をしていた高性能大型遠心分離機の過剰稼働による爆発で世界にあらゆる動物の遺伝子が散らばった。  当初はただの爆発で何事もなかったように過ぎていったが数年経ったある日産まれた赤子には猫の耳が生えていた。  それから産まれてくる子供にはいずれも何かしらの動物の遺伝子が混在し、その特徴を持つようになった。  第一世代と呼ばれる子供たちが思春期を迎えた頃、更に重大な遺伝子異常が見つかった。  第二次性徴とともに彼らの中に、男の中に女性の、女の中に男性の染色体が組み込まれている、両性のような存在が現れた。  ごくごく少数の彼らは検査の結果、男性でも妊娠が出来る、女性でも妊娠させることが出来る、新たな性であることが分かった。  これを第二性、オメガバースと呼ばれるようになった。  調査を進めていくうちに、男の中に更に男性の染色体が組み込まれた性やその逆も発見され、性の分類が細分化され、第一性が男女に関わらず第二性が男であるものをアルファ。第二性が女であるものをオメガ、第二性が発現しなかったものをベータと呼ぶようになった。  それも今は昔。  いまでは地球上あらゆる人は動物の遺伝子を持ち、第二性が決められている。 『紘(22歳)柴犬Ω』  出逢いを求めるアルファとオメガが集まるマッチングパーティに参加したボクは胸元の名札を弄りながら諦めモードに入っていた。 (今日はハズレだな……)  いつもは繁華街のバーで物色しては、相性チェックとばかりに夜を過ごしていたがなかなか理想のアルファに出逢えなかった。  ボクは小柄なオメガらしいオメガだ。顔は愛嬌がある可愛らしいモノだし、動物特徴だって人気の犬耳と尻尾。茶色に白の混ざった毛並みはボク自身お気に入りの柴犬タイプ。愛想もいいから簡単に相手は見つかる。ちょっと笑顔で懐けば打率8割という好成績だ。同じバーの常連オメガからは煙たがられることもあるがアルファからは大人気。毎晩のように品定めをしてはお持ち帰りを果たしていた。  それでもボクはまだ番を見つけてられずにいた。  なかなかコレと思う相手が見付からず、これは餌場が悪いのかと思案した結果、このマッチングパーティに参加したのだった。  このマッチングパーティを知ったのはつい最近。馴染みのバーでとあるオメガに声を掛けられ誘われたからだ。あまり見かけない清楚で儚げなオメガだったが焦りを感じていたボクは一も二もなくその話に飛びついた。  しかし、周りを見渡せばかなりランクの高い上品なアルファ、オメガが揃っている。昼間のパーティはいつものバーとは雰囲気が全く異なり場違い感に息苦しさを感じた。 (みんな、なんか上品そうで、違うんだよなぁ。もっとこう……)  周りの空気に耐えられずボクはテラスから外に出た。  今回のパーティ会場は都心の一角にある洋館だ。旧華族が建てたと言われるこの洋館には広大な庭が設えられている。青々とした芝生は犬の本性から走り出したくなるし、その奥にある薔薇園からは芳しい香りが漂っていた。自然の香りを吸い込むと、その中にひときわ香るのはカルダモン?カレーのような香りなのに空腹よりも性欲を掻き立てられる不思議な香りがして、フラフラとその香りの先へと足を伸ばした。 (いい匂いがする……頭の奥が痺れるような、針で突かれるような……)  薔薇園の先にあるのは日本庭園だった。その中にぽつんと庵が見えた。匂いはそこからしている。  夢遊病患者のようにその庵に辿り着くとその縁側に一人の老人が座っていた。 「おや?迷子の子猫ならぬ仔犬かい?」  真っ白な髪をふわりと撫で付けた老人は糸目を更に細くして柔和な表情でこちらを見ている。ボクは何かを言わなきゃと思うのに、声も出せずに、その場に跪いた。  緩く着付けた着物姿の老人はゆっくりとした動作で立ち上がるとボクの前まで来て、細い腕を伸ばすとそっと頭を撫でた。 「こんなところで粗相をするなんて、躾がなっていないね」  言われて初めてボクは射精と共に中でイったことに気付き、そして意識を失った。  目が覚めるとボクは全裸で縛られていた。赤いシルクの紐が少し日に焼けた肌に纏わりついている。膝下と太ももを一緒に縛られ開かされた股間は陽の光に晒されている。庵の中なのだろう、障子は開け放たれていた。手首は胸から回った紐と一緒になっていて、動かすたびに乳首に触れる。きつく縛られてるわけでもないのにこの拘束から逃れられそうになかった。  畳の上に座るボクの前には五人の若い男が立っていた。やたら大きい男に対象的にやせ細った男。まだ未成年に見えるような若い男。少し太った男と、老人に似た年嵩の男。共通しているのは皆、猫のような目と大きな鼻。それから柔らかそうな髪質くらいか。 「さて、仔犬君。どうやら君は私の運命のようなんだが、困ったことに私はもう生殖機能が働いていなくてね。それでも可愛い君を愛でたい。そこで、彼らにお願いしたんだが、わかるね?」  背後にいるらしい老人がボクに問いかける。その声は低く腹に響いた。カチリという音と共にボクの首元に何かが触れる。 「犬に首輪は必要だろう?今度、特注で作らせるからそれまではこれで我慢しておくれ」  そう言うと老人はボクの項に口付けた。乾いた唇が触れるだけでボクの体の熱が高まる。噛んで欲しい、初めてそう思った。  それだけでまたイってしまいそうになるところを誰かの手で根本を握られ、射精させてもらえなかった。 「ああ、また粗相をしそうになったね?躾が足りないようだ。ほら、みなが手伝ってくれるから我慢するんだよ?」  ボクのペニスを握った一番若い男がそれをそのまま上下に扱く。さっきの精液で濡れたペニスはぬちゃぬちゃと音を立てる。背後にいた老人がいつの間にか別の男に変わっていて、大きな身体でボクを後ろから抱くと、その手で乳首を摘んだ。 「んっ♡ん゛っっ♡んぅぅ♡」  摘んだ乳首を伸ばしたり捏ねたりと弄られるたびに喉から音が漏れる。老人の香りの先を辿れば彼はボクから少し離れた縁側で煙管を吸っていた。 「もう長くはない。君を番にして一人にするのは忍びないから、噛むことは出来ないんだよ」  背後の男がボクの身体を後ろに倒し、ペニスだけでなくアナルまで白日の下に顕になる。ペニスを掴んでいた男が横に移るとまた別のやせ細った男がボクの前に鎮座し、アナルに舌を這わせた。 「ん゛んんんん♡」  一度イッた余韻も残っていたのか触れた舌だけでボクのアナルが収縮し愛液を零す。ぐちゅぐちゅという淫靡な音がボクの身体のあちこちから聞こえてくる。煙管の煙がボクまで届くとその匂いに彼の匂いを嗅ぎ分ける。ああ、もっとこの匂いを近くで嗅ぎたいのに…… 「私には連れ合いがいてね。まぁ40年以上前に亡くなったんだがね」  老人はボクのことなどお構いなしに話を始めた。同時に施される快楽に頭が塗りつぶされそうになりながらも番の声を聞き漏らすまいとしてボクは必死で快楽に耐えた。頭を後ろの男の膝に乗せられ、乳首は相変わらずぐにぐにと捏ねられ続け、乳輪がぷっくりと膨らんできた。後ろ手にされ閉められた脇の間には小太りの男のペニスが差し込まれていた。アナルを舐めていた男はボクの尻を持ち上げていて、既に畳に付いているのは背中だけになっていた。 「彼女が三人のアルファを産んでくれたおかげで、こうして孫にも恵まれた」  握られていたペニスにたらりと涎が垂らされ、その刺激に腰が跳ねる。そこをパクリと咥えられてペニスが熱に包まれた。長い舌がペニスに絡み、口の中だけで扱かれている。先程から一人、触れてない男がいることに気付き、一番年長であろうその男に視線を向けるとそこには雄々しく少し突起のあるペニスを眼前に突きつけられた。すんと匂いを嗅ぐとかすかに老人と同じ匂いが混じっていてボクはそれに吸い付こうと首を伸ばした。しかし轡をされた口ではそれを舐めることさえ叶わなかった。 「いいんですか?お祖父様」 「お前たちに運命が現れるまでは好きにしなさい。ただし、彼を傷付けてはならない。守らなかったものは遺言書から名前が消えることになるよ」  会話が終わるとボクの前にいたやせ細った男と一番年長であろう男が入れ替わっていた。膝を押され更に上を向かされたアナルに先程見た凶悪なペニスが一気に挿ってきた。 「ん゛んん゛んんん♡」  細かい突起が内壁全体を刺激し、総毛立つ。一度で入り口から奥まですべてが満たされ、ボクはちょろちょろと透明の液を漏らしてしまった。 「そう今君の周りに居るのはみな私の孫だよ。あぁまた粗相かい?困ったねぇ。首輪と一緒にコックリングも作らせよう」  老人の言葉にボクは期待でアナルを締めてしまう。 「お祖父様、運命っていうのは素晴らしいですね。ここまで貴男好みのオメガは今まで初めてですよ。ああ締め付けてそんなに嬉しいのかい?とんだ雌犬だね」  激しい抽送にも関わらず冷静な言葉を吐く男はニヤリと笑った。 「ははっ。雌犬と言われてまた締まった!」 「あまり虐めてやるな。私の大切な運命なのだからな」 (ボクの運命……あの人が……ああ、今あの人のじゃないちんぽでイカされてる……)  続く抽送に中でイくのが止まらない。今までのセックスでこんな連続イきは初めてで、その快感は脳を侵食する。運命の番に見つめられ、彼の孫に犯される。 「お祖父様、種付けしても構わないんですよね?」  相変わらず冷静な孫は息切れ一つせずボクを貫き、彼を振り向き問いかけた。 「もちろん。一欠片でも私の遺伝子を彼に遺してやりたいからね。どの種で孕むか、楽しみだな」  彼の言葉にボクは最高潮に達した。  締め付けたアナルに熱が放出されるのを感じて、ずるりと抜かれた。ぽっかりと空いたアナルに風が当たる。ふぅと吹きかけられたのは彼の煙だった。 「ああ、こんなに卑猥な孔は見たことがない。そんなに孫のコックは良かったかい?さあ、あと四本試すといい。選択権は君にあげよう。すべて見ていてあげるから存分に楽しみなさい」  彼はまたふらりと立ち上がり縁側まで戻った。煙管の灰をコツンと叩いて捨てると組んだ脚に肘を付き、ボクをみつめていた。 (彼が見てる……)  それだけでまた蠢くアナルから愛液と共に精液が流れた。それを押し込むように今度は別のペニスがボクを塞いだ。  代わる代わる五人の男に犯され続けてボクの身体は中も外も番ではない男の精液に塗れていた。  やっと轡を外されると、うつろな視界でもはっきりと見えるくらい近い距離の番の顔が見えた。  青白い肌に大きな鼻。シワのある目元に出された形の良い額。血色がいいとは言えない唇は薄く、手には血管が浮き出ていた。  その手がようやくボクの頬に触れる。 「さぁどうしようか?私の元に残り、孫たちに子種を貰うか、今までどおりの生活を送るか。君は何を望む?」 「……っ、ボク、を、飼って、くれ、ます、か?」  乾いた喉がやっとのことで声を発する。今まで求めていたモノがなにかようやく分かった。ボクはこの人に飼われたい。例え番になれなくても……  顔だけで彼の着物の隙間に入り込み、その柔らかいペニスに鼻を擦る。一番好きなカルダモンのスパイシーな香りが頭いっぱいに広がった。決して勃つことのないそこに舌を這わせる。 「ああ気持ちがいいよ、良い子だ」  彼がボクの頭を撫でた。これまで散々犯され出し尽くしたと思っていたのに、それだけでボクは中イキしてしまう。 「ご主人様……♡」  迷子のボクにようやく飼い主が見つかりました。
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