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第123話

 壁の時計は十二時近い。匠だって疲れているはずだしさっきはあくびしていたし、眠いだろう。どう切り出したらいいのか……と考えていたら匠が言った。 「エッチする?」 「え?」 「高良さんはそのほうがいいかと思って」 「そのほうがって?」 「だから、何か色々考えちゃってるみたいだけど、ようするにおれとセックスしたいんでしょ?」 「確かにそうだけど、それだけじゃないんだ」  セフレ扱いされたくなくて、高良はもどかしく言葉を探す。  ああもう、告白するってこんなに大変だったのか。告白してくれた女子の気持ちを考えたことなどなかったが、こんなに勇気を出してくれたのかと頭が下がる思いだ。  匠は急かさないでそのままごろりとソファに寝転んで、くつろいだ様子で高良の言葉を待っている。  高良は一度深呼吸した。酔っているのはわかっている。でもこの勢いで言わないと言えない気がした。酒の力を借りないと告白もできないなんて情けないと思う。でも匠はそんな高良を仕方ないなあという顔で許してくれる。 「匠くんともっと話がしたいし、一緒に出掛けたりしたいし、食事に行ったり気軽に連絡したりしたい」 「うん」 「本当は他の男と寝たりしないで欲しいと思ってるし、誰かと一緒にいるのかもって考えると胸の奥がじりじりするんだ」  言いながら頬がじわじわと熱くなった。  あの歌は本当だ、あれこれ考えても長くなるし、恰好悪いことばかり口にしてしまいそうだ。確かにまとめてしまったほうがいい。 「つまり、匠くんが好きだ」  匠はじっと高良を見上げている。酔った目が潤んでいてやっぱりきれいだと思う。 「会うたびに気になってた。会ってないときも。いま何してるかなとか連絡したらダメかなとか色々考えた」 「マジで? 連絡くれたらよかったのに」 「できないよ。なんて言えばいいかわからないし」 「普通に遊びに行こうとか飲みに行こうとか」 「迷惑じゃないか?」 「なんで迷惑?」 「いや。最初に男とはつき合わないなんて言ったし、それなのに遊びに行こうなんて誘えないだろ」 「ああ…。そんなことも言ってたね」 「ごめん。匠くんが好みぴったりだったから怖くなった。それで予防線を張ったんだ」 「好きになりそうだったってこと?」 「ハマるとマズイと思ったんだ。でもそんなの全然ムダだった」  にっこり笑った匠が体を起こして、高良の体を倒した。

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