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名刺

その後、浮気について一切、話をしなかった。 なんで…………? どうして俺以外の奴を抱いたんだ。 言って、どうする。 ………………きっと面倒くさがるだけ。 次の日、休みの日なのに夏陽は一人でどこかへ行ってしまった。 行き先も分らない…… 誰と会うのかも…… 昨日の人に会うの……? …………置いていくなよ。夏陽。 ピンポーン。 インタホンが鳴り、出ると流さんがいた。 「朝から、ごめんね。回覧板、急ぎらしい」 「あ、ハイ。分かりました」 この人も、αだよな。 浮気……とか、するのかな………… 「…………何?」 流さんが俺をじっと見た。 いけない!ジロジロ見過ぎた。 「あ……すみません。 なんでも…………」 流さんが中を伺う。 「今日は彼氏、いないんだね」 「…………」 突然、話題を振られて、つい黙ってしまう。 夏陽は、今頃…… 「昨日、あれから、大丈夫だった? どうしたの?彼氏とケンカした?」 「別に、ケンカって訳じゃ……」 やっぱり鋭いな。 「落ち込んでるなら、デートしない?」 「…………しません」 「えー!一回位、いいじゃん」 「お断りします」 「カタイなぁ〜! ま、そういう一途なとこ、魅力的だけど…… 決心ついたら、連絡ちょうだい」 そう言って、やたらキラキラしてる名刺を取り出し、裏にサラサラとスマホの番号とラインのIDを書き、手渡された。 黒を基調としたきらびやかな名刺。 『Club ROSE  流 Nagare』 …………やっぱり、ホスト。 しかも、源氏名じゃなくて、本名……? 「遊びにくる〜? サービスするよ♡」 流さんが手の甲にキスをした。 「行きません」 ダメだ。この人は…… 軽すぎ……! 「相変わらず、キッパリ! ……少し、元気でたね。 辛い時はお兄さんが話し相手に なってあげるから、連絡して」 わざと、ふざけたのだろうか…… 俺が落ち込んでたから? 俺の様子を見て、流さんは少し、ホッとした顔で笑い、なんだか気持ちが落ち着かなかった

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