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「……………お前、クズだな」 零士がため息をつく。 「は?」 男は目が点になってる。 「『どうしようもないクズ』って言ったの。しかも低レベル。相手にされなかったからって、ガタガタ言ってんなよ。過去の事まで引っ張りだして本当に器の小さい奴。そんな事言って何がしたいわけ?頭悪すぎて引くんだけど……」 淡々と並べられた言葉。怒ってる口調。 …………零士の怒ってる顔なんて初めて見る。 「な、なんだと!?」 男は突然罵られて驚いてる。 まさか、同じαの方じゃなくて、俺の味方になってくれるなんて…… αがあんな話を聞いたら普通…… 「お前、下手だから、知らないんだろ。ヤッてる時のレキは可愛いよ。αのくせに下手とか笑える」 「な……」 …………な……何を突然。 零士は今まで、性についてなんだかんだ言ったことはない。 『αのくせに』、わざと選んだみたいな相手の神経を逆なでにする言葉。 『レキは可愛い』、俺は男だし別に嬉しくないけど、自分を否定されなかった事にどこかホッとしてた。 「可哀想な奴。お前が下手くそだから相手にもしてらえないんだ。レキ、痛がった事なんか一度もないけど?どこがマグロ?お前、相当、下手なんだな」 「お、おい。零士」 『下手』って何回、言ってんだよ。プライド高いαは誰かにこんなにボロクソに言われた事ないんだろう。あまりの怒涛の悪口に男は呆気に取られてる。 「な、な……」 ワナワナと怒り、体を震わせる男。 「一度でも聞いた事ある?レキのやらしい声……無いだろうな。不感症?いい加減、勘違いに気付けよ。 ただ単にお前が下手くそなだけ」 次から次に出てくる零士の連続攻撃に流石に焦る。 これ以上はマズイんじゃないか。 コイツ、手が早いから。中学の時、よく殴られたし…… 芸能人のくせに揉めたりしたら…… 「俺はこんな極上のΩには初めて会った。 聞いた事ない?『大事にされたΩはすごく感じやすくなる』。レキは触るだけで赤くなるし、感じると甘い香りがする」 頬を撫でられ、零士を見つめ返す。 『極上のΩ』?頬が熱くなる。 アイツを黙らせるためとはいえ。恥ずかしいんだけど…… 「…………やめろよ。零士」 「照れてんの。本当にお前は可愛いね」 オデコに軽いキス。零士のこの変なスイッチを誰か切ってくれ。 「マトモなαなら誰でも知ってる。 『大事にしてるΩは可愛い』、『Ωの前じゃ、αは主導権も握れない』、『Ωの潤んでる目を見たら負け』。 レキの蕩けそうな顔を見たり、涙目で見られたら、抑制剤飲んでても理性を保てない。あんなにやらしいとこ見れるなら、俺は別に負けても構わないけどね。 お前は知らないなんて、残念な奴……」 α用の抑制剤、飲んでたのか…… 零士に肩を抱かれる。 本当に……?あんなにいつも余裕で飄々としてるのに。 「お前は一度も見た事ないのか。レキの魅力を引き出せないで、低俗な考え方とダサイ遠吠え。同じαとして呆れるよ。格好悪い事ばっかり言うのはやめたら?」 畳み掛けるように零士が続ける。 「いい加減にしろ……」 男は怒りで震えてる。 …………よくまぁ、こんなにポンポンと相手を怒らせる言葉が次から次に出てくるな。 「どうせ、自分より力のないΩを無理矢理ヤッて興奮して身勝手なセックスしか出来なかったんだろ。お前なみたいな馬鹿が多いから、Ωが暮らしにくくなるんだ。 レイプする奴はクズだ。しかも、悪びれもなく人の過去をバラしたりして胸くそ悪い。 行こう。レキ。何も気にするは事ない。 …………大丈夫。お前は綺麗だよ。 あんな奴の言葉に傷つく必要なんてないんだ。相手にするだけ時間の無駄」 零士の言葉に声が出なかった。

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