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気分転換

前に話は聞いてたけど、目の前で見ると驚く。 「目を見て触れても、稀にしばらくすると効果が薄れるタイプもいるんだ。アイツはお前の大学とか家とか知ってる?知ってるなら、対策練らないと……」 「いや。アイツは中学の時の同級生ってだけでお互いに住所も大学も知らない。 今日も本当に偶然で━━」 「中学なら近所なんじゃないの」 「卒業からバッタリ会ったりもしてないから、多分、地元離れてるんだと思う」 「念の為、中学の名前を教えて」 「……………………何するつもりだよ」 「効果が持続してなかったら、ちょっと人生の厳しさを教えてやろうと思って」 「…………」 「大丈夫。任せて。そういうの、得意だから」 不敵に笑う零士に仕方なく中学の名前を教えた。 「…………レキ。やっぱりデートしない?調べたんだけど、スポーツも出来るゲーセンがあるみたい。ドライブでもいいよ。スパとか海とか。」 気を遣ってくれてるのか……?スパも海も楽しそうだけど。 「…………もしかしたら、ラウンド□ンスポッチャ?」 「うん。知ってる?レキ、行った事あるの?」 ゲー厶とスポーツが出来る複合施設。一回行ってみたかった場所! 「行った事はない。遠いし……」 「じゃ、そこに行こうか」 「行きたいけど……零士。明日、仕事だろ?」 「明日は少し朝ゆっくりなんだ。平気だよ。たまには夜遊びしよう」 夜遊び、実はあまりした事ない。 友達と親密になり過ぎないように気を付けてたから。 「本当に?じゃ、行きたい!」 「また勝負する?」 「ゲームとスポーツなら負けねぇぞ」 零士はエレベーターのボタンを押し直した。 もしかしたら、気分転換させる為に誘ってくれたのかな。零士って、本当は良い奴なのかも…… いやいやいや。今までの事を思い出せ。まだ、気を許すのは早い…… 外はすっかり暗くなってる。流れるテールランプを見つめながら、口を開いた。 「いつも、録音機なんて持ってるのかよ。」 「芸能人やってると、マスコミとかストーカーとか、色々あるんだ」 「……………俺のは録ってないだろうな?」 「いつ?」 「ヤってる時……」 「そういうプレイが好きなの?仕方ないな。 いいよ。レキが望むなら━━」 「違うっつーの!!」 「はは……」 なんだろう…… 凄く心が軽くなった気分だった。

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