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第120話 希、千春にのろける

のんさんは顔を赤くしたまま少し考え込み、その後俺の質問に答えてくれた。 「えっと…初めてで全く痛くなくするっていうのは、麻酔でも使わない限り無理だと思う」 「そ、そうか…やっぱりそうだよな」 普通は出す所に無理矢理異物を入れるんだもんな。 分かっていたことだが、そんなの痛いに決まってる。 それを考えると、やっぱり躊躇してしまうんだ。 もういっそのこと、俺が下になるか……? あ~~~ッッ!! でも!! 俺はすずを抱きたいんだ!! 抱かれたいんじゃなくて!! 「のんさんは最初、どうだったんだ!?」 勢いのまま、きわどい質問を続けた。 「お、オレ!? オレは…そりゃ、痛かったよ、勿論」 朝比奈先輩め…なんか色々チョーシいいこと言ってたけど、嘘じゃないか。 痛かったってよおい。 「もう我慢するしかないって感じか?」 「うん…我慢…だけど、でもそれだけじゃないよ?」 「え?」 我慢だけじゃない? 「だってめちゃくちゃ好きな人が相手なんだよ? 精神的なつながりも大事だと思うけどさ…それだけじゃなくって、その、身体も一つになりたいって思うから…めちゃくちゃ痛かったけど、我慢を強いられるだけじゃないよ。オレは嬉しかった」 「嬉しい……」 「それにオレ…セックスって、好きなんだ」 「え!?」 な、なんだってぇぇ!? 今のんさんの口から衝撃的な言葉が出たような…!! 俺の聞き間違いか!? 「えって何だよ! オレだって男なんだから、きもちいいことが…好きだよ」 「あ、そ、そうだなスマン! えーと、じゃあ…朝比奈先輩って上手いのか?」 ここぞとばかりに、普段は聞けないことを聞く俺。 また引かれるかもしれないが、もう…開き直ろう。 俺とのんさんは男同士なんだ! 親友なんだ! 下ネタのひとつもできなくてどうするんだッッ!! のんさんは俺の質問に目を丸くしたけど、少し戸惑った顔をしながらも答えてくれた。 「オレ、こういうことは全部トーマ先輩が初めてだから、上手いのかどうかってのは分かんない、ぶっちゃけ。だけど…普段はあんなだけど、エッチしてるときのトーマ先輩はめちゃくちゃ優しいし、めちゃくちゃかっこいいし、オレは毎回きもちよくてわけわかんなくなっちゃうから…多分、上手いんだと思い…ます」 そう言い切ったあとののんさんの顔は、茹で蛸か?ってくらい真っ赤だった。 少し湯気も立ってるみたいだ。 つられて俺も、なんだか少し顔が熱くなった。 「って、なんで敬語なんだ?」 「ハルが恥ずかしいこと聞くからじゃん!」 「のんさんは照れると敬語になるのか…」 「知らない、自然にそうなったの!」 「ははっ」 のんさん、ほんとに可愛いな。 さっきのセリフ、録音して朝比奈先輩に聞かせてあげたいくらいだった。 そこまでしてやる義理もないか? いやいや、一応何度か食事等で世話になってるから、機会があったら話してあげよう。 相談にも乗ってもらったしな…。 調子に乗る姿しか目に浮かばないが。 「ハルってば、すずのこと泣かせちゃったんだからそんなのんきに笑ってないでこれからどーすんのか真面目に考えなきゃ!」 「ハッ、そうだな。ちゃんとすずと話し合わないと」 確かにのんきに笑ってる場合じゃなかった。 すずも俺としたいって思ってくれてることが分かったせいか浮かれて、泣かせたことをつい失念していた。 話し合いというか、セックスすれば解決するような気もするが……。     でも、なんだかひどく痛々しく泣いていたから、理由はこれだけじゃないのかもしれない。 すず……一体何をそんなに悩んでいるんだ? 俺が聞いてもちゃんと教えてくれるだろうか。 いや、聞かなきゃいけない。 俺はすずの恋人なんだから! 悩みを聞きだして、一緒に悩んで……原因が俺だとしたら、ちゃんと解決したい。 まるっと全部、とはいかないかもしれないけど。 これから先、また同じ理由で泣かせるわけにはいかないから。

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