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「うん、俺もびっくりした。だってタブレットふたつ持って悩んでたんだし……」  笑いながら慎がそう言ってて、少し恥ずかしくなる。  いつから見られてたのか全くわからない。  ていうか……妹にめっちゃ見られてる。穴空いちゃうー、やだー。  ……やべぇ、自分。 「慎は……どうした?」 「ただの買い物。采音(ことね)も行きたいって言ってたから連れてきた」 「采音ちゃん久しぶり。今何歳だっけ?」 「……中二、です」  あ、中二だった。  慎がでかいから小さく見えたけど、中学生の女の子としては平均的な大きさだな。寧ろ高い?  しかも手を繋いでいる……  うっ、羨ましい。渡せ!  「……で、結局どっちにするの?」 「あ、そうだな……」  どうしよう。  こうなったら二倍のお金を出してふたつ買うしか……!  そう苦渋の決断をすると、ひょい、と慎がひとつのタブレットを取っていってしまった。 「そしたら片方買ってやるよ。そしたら陽向買うの一個で済むだろ?」 「あ、ま、慎さま……」 「くく、なんだそれ。ちょうど買い物終わるし。どうする、采音。先帰ってる?」 「ううん、慎といる……」  あれ、采音ちゃんってこんな物静かな子だったっけ。  僕の記憶ではもっと元気でたくさん話してくれたはずなんだけど……  まあ中学生にもなれば性格も変わるか。 「ごめんな陽向。采音いつもすげえ喋るんだけど、見ないうちに陽向がイケメンになってるから恥ずかしいみたい」 「違っ、違うよ……!」 「……イケメン? 僕が?」  いやいや、ないない。同級生から小動物もどきって言われたりするんだぞ?  あ、でも。女の子のそういう気持ちわかるかもしれない。  年上のひとが見ないうちに背が伸びてて少し顔が変わってたら恥ずかしいーみたいなの。わかる。経験ねえけど。  まあ、そんなこともあって慎に淡い期待を抱いてこんな質問をしてみたんですけど。 「慎、僕イケメン?」 「いや、俺からみたらかわいいよ」 「……どっちだよ」  はい、玉砕。  歩きながらレジに向かう。僕はあっという間に会計が終わったけど慎はまあまあ量があったので慎が終わるのをスマホを弄りながら待つ。  当然、嘉子さんについての情報収集。調べれば調べるほど黒い噂が出てきてますます興味が湧いてきた。  一回会ってみたいな。  少しにやにやしながら画面を見ていると慎が会計を終えたらしく僕のそばにやってきた。 「陽向どしたの? なんか……変な画像でも見てた?」 「んーん、大澤とラインやってた」  これは勿論嘘。大澤っていうのは他クラスの中学時代の友だち。今でも仲がよくてたまに遊びに行く。  ごめん大澤。ま、いっか。あいつ変態で変人だし。  慎からタブレットを受け取り、ポケットの中に入れる。  なんだかひとつひとつの動作を采音ちゃんに見られている気がして、少しむず痒い。  ああ、惚れられるってこういうことか、みたいな。  ちょっと調子乗った。ごめんなさい。

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