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絆 1

 光希が部屋に引きこもってから三日がたった。学校は試験休みだ。行く必要は無い。  初めは謹慎という名目で部屋に閉じ込められていたが、翌日からは光希自ら部屋に引きこもった。部屋は内側からも鍵をかけられる。光希は鍵をかけ、トイレに行く以外は部屋に引きこもっていた。  部屋の扉がノックされるが、光希は答えずに、布団の上でじっと丸まっていた。 「光希、いい加減ご飯、食べて」  慶太の声がしたが、光希は答えなかった。 「俺が作ったご飯じゃない。橘さんが作ってくれたご飯だから」  光希は三日前、昼食の時間だと呼びに来た慶太に、慶太の作った食事は食べたくないと言い、それから食事を口にしていない。  別にハンガーストライキをしているつもりはない。ただ、食べたくない。それだけだ。  不思議な物で、人から強制的に絶食させられたときはただ腹が減り、とにかく何かを食べたいと思ったのだが、今は腹が減ってはいるが食べたくはない。  久我山の母親が、夫を亡くして衰弱死したと言っていたが、それは運命の番を失ったからではない。愛する者を失ったからなのだと光希は思った。自分も今は、何もする気は起きず、このまま死んでしまおうとも構わないと思った。 「光希、お願いだ。俺の顔を見たくないなら見なくていい。食事はとってくれ」  光希はそれにも答えなかった。ただ、動きたくない。 「ドアの前に置いておくから、食べて」  その言葉を最後に、もう慶太の声は聞こえてこなかった。  光希は目を瞑る。動いていないから眠くはならない。しばらくそうしていると、またドアがノックされた。 「光希、父さんだ。開けなさい」  光希はそれも無視をして目を瞑ったままでいた。  しばらくすると、がちゃがちゃという物音が聞こえた後、ベッドが沈む感触がしたので目を開ける。そこには達臣が座っていた。  光希は目を開けてそれを見た後、何の感慨もなくまた目を瞑った。 「怒っているんだね」  怒る? 何をだ。光希は思った。怒るなど、もうそんな気力も無い。動きたくないだけだ。 「光希が何も食べないから、慶太も晃希も同じように食べていない。慶太は自分のやったことを後悔はしてはないだろうが、それでも落ち込んではいる」 「そう。それで?」  光希は小さな声で返した。 「光希は、どうするつもりだったんだい」  何の話だと思ったが、やはり光希は答えず目を瞑ったままでいた。          

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