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絆 3

「光希は、凄く良い子で頑張り屋だ。だけど、普段は自分の言いたいことを我慢するのに、突然本能のままに動いてしまう。自分を抑えることが出来ないんだ。それは仕方が無い。忍耐を教えられなかった私の責任だ。だけど、もう少し外に目を向けて欲しい。慶太にも晃希にも、そして出来れば私にも少しで良いから目を向けて、自分の行動を振り返って欲しいんだ。今のままでは、社会に出てやってはいけない。賢い君なら、分かっているだろう」  光希はそれに頷くことは出来なかった。ただ、悔しかった。それを認めることは、悔しい。 「俺、この家を出た方がいい?」 「まさか。光希が出ていきたいと言っても、引き留めるよ。光希は、家族だ」  それに何故だか光希は安堵した。何故だかは分からぬが酷く安堵し、達臣の手に眠くなっていくのを感じる。光希はゆっくりと意識を手放し、深い眠りについた。  目覚めた時、もう達臣はいなかった。酷く腹が減っている。ご飯が食べたいと思った。  光希は部屋から出ると、キッチンに顔を出した。そこには、慶太がいて、何かを作っている。  慶太は光希に気がつくと、ほっとした顔をした後、不安そうな顔をした。 「お腹すいた」  光希がぽつりと呟くと、慶太が今度は笑う。 「今、お粥温める」  光希がテーブルについて待っていると、湯気を出したお粥が光希の前に置かれた。ドロドロのお粥であった。 「胃に何も入れてないから、消化のいい物」  そう言って、慶太は光希にスプーンを差し出した。いつでも光希が食べられるように、慶太は用意をしていたのだろう。 「ありがとう。兄さんも一緒に食べよう」  光希が呟くと、慶太はいつもの穏やかな顔になり、晃希も呼ぼうと言った。 しばらくすると晃希がやってきて、三人で食卓に座る。それはまるで、三人の間に何もなかったかのようだった。 「光希」  慶太が光希の顔を見ながら、光希の名前を呼ぶ。光希はそれに答えることはせず、お粥を食べ続けた。 「俺は謝らない」  その言葉に、光希は何故だか、少しだけ笑った。 「そう。俺も謝らないよ」 「一緒だな」 「うん、一緒だね」  慶太を許せないと思っていたのだが、許せなくとも一緒に居ることは出来ると思った。  そしてそんな自分の心を端から見ながら、あぁ、これが家族なのか。家族とはこういうものなのかもしれないと、光希はそう思った。     
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