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第30話

「黒河離してくれ。 俺、お前に近づきたくないんだ。お前も大切な人が傷つきたくないだろ?」 「…俺の大切な人はもう傷ついてる。」 俺は蘭をもう傷つけてしまってたのか。 どうしよう。初めてできた友達だったのに。 俺が蘭を傷つけるなんて……。ほんと俺最低だ。 「なぁ、黒河。 俺さ、お前のこと嫌いなんだよ。だから離してくんない?」 俺は、声が震えそうになりながらいつも通り、黒河に落ちた消しゴムを拾ってというのと同じトーンで言った。 そして、続けざまに言った。 「俺さ、友達だと思ってたやつに犯されるわ大嫌いなやつに抱きしめられるわ…ほんともう最悪なの。だから、もう離してくれる? お前も早く蘭のとこいけよ。あいつ待ってるだろ?」 俺がそう言って黒河 夏の腕を突き放し保健室のドアを開けた。 「は?桃谷?…ちょ待て!俺が大切にしたい人は」 「知ってる。言わなくていいよ。聞きたくない。」 俺は笑ってそう言った。そして、保健室のドアを力いっぱいに閉めて黒河 夏から一刻も早く、あの場所から早く逃げ出したくて必死に走って寮へ帰った。 全身が痛いなんて言葉じゃ表せないくらいの痛さだったが、全力で走った。 もちろん、俺の胸はその痛みよりも遥かに痛かった。

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