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続・真夜中、映写室(2)

「はい……」  変態に逆らうと何が起きるかわからない。アカリは恐怖と嫌悪と諦観の中、ドアノブから手を離し、すごすごと部屋に戻って空いている椅子に腰かけた。  蒔苗の手の動きが激しさを増す。時折大きな手のひらの隙間から真っ赤に充血したたくましいペニスがのぞき、どうしてもアカリはそれを横目で気にしてしまう。カウパーで濡れて光る亀頭。スピーカーから流れる音さえなければ、きっと卑猥な濡れた音が響いてくるに違いない。  そういえばあの日はこいつのせいで雰囲気が壊れて、結局イクことができないままだった。あれから何度か自慰はしたが、ゼミも開始し何かと忙しくて出会い系を利用する暇はなかった。  硬くてでかいの、後ろに入れたらきっと気持ちよくて、すぐイっちゃうんだろうな……。そこで正気に戻ってアカリは慌てて妄想を打ち消す。  待て、こいつは人のセックスを勝手に覗いた上にゲロを吐くような失礼なやつで、スプラッタ映画でオナニーするような変態だ。そんな奴相手に一体何を考えてるんだ。落ち着け。  間もなく蒔苗は、スクリーンの惨殺死体を眺めながら射精した。そのまま余韻もなく、汚れたペニスをティッシュペーパーでさっと拭うと、下着とズボンを整える。  抜いてしまえば用済みだとばかりにリモコンの停止ボタンを押すとDVDを取り出し、ケースにしまうが、その際ちらりと見えたタイトルは「恐怖! グリズリーマン 〜月夜に響く美女の悲鳴〜」。D級にもほどがある。 「あ、あのう、蒔苗くん」  アカリは恐る恐る蒔苗に声をかけた。こんな奴と二人きりでいるのは嫌だ。一刻でも早くこの場を離れて家に帰りたかった。 「夜も遅いし、俺、そろそろ帰……」 「明里、俺の秘密を知って、弱みを握りたかったんじゃないのか」  それはそうだ。でも、いくらなんでもこの状況は怖すぎるし、そもそも蒔苗の態度はとてもではないが「弱みを握られた」という殊勝な感じではない。 「いえ、秘密なんて何も。俺、何も見てないし」  いそいそとリュックを背負い出て行こうとするが、そのリュックを背後から掴まれ、アカリは身動き取れなくなった。 「逃げるなって、言っただろ」

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