1 / 3

0

とある昔、今の人々が夢見るユートピアのようなもしくは桃源郷のような白い街という穏やかな島がありました。 そんな世界にツキとタイヨウ。天の子どもと言われる2人がいつも森の中密かに一緒に楽しく暮らしていました。 ツキは艶やかな紺色の髪に、吸い込まれそうな凛と煌めく黄金の瞳。どこからどう見ても美しい顔立ち。物静かだけれど、どこか危なっかしく見ていないとすぐに消えてしまいそうな儚さはまるで月のようで、 タイヨウは誰もが目を奪われる鮮やかな明るいさっぱりとした橙色の髪と真紅に燃える捕らえて離さない瞳。意志を強く感じる端正な顔立ち。周りを強く引っ張っていく、民たちを照らすような陽気で強気な情熱はまるで太陽のようで、そんな2人は自然と惹かれあっていくのでした。 お互いがお互いを思い合い、2人はずっと一緒にいます。 自分にはない個性にお互いは熱中夢中。 流石に正反対すぎてすれ違いかと思えば、価値観はぴったり。相性もぴったり。 こんな幸せな聖地でこんなに幸せな2人。 末永く幸せに暮らしていくのかと思えば、かみさまか運命のいたずらか、お互いの家族が猛反対。お互いには決められた相手と結ばれる予定なのでした。 密かに暮らしていたのがバレたのも運の尽き。 そんなこんなで、月の民、太陽の民は2人の仲を引き裂くのに必死。 どれだけ一緒にいたいと思いを伝えても許してくれない。 引き裂かれてしまったあと、2人は世界の反対側に連れていかれてしまいました。 ツキは月の民しかいない青の島へ、タイヨウは太陽の民しかいない焔の島へ。 こんなの幸せでもなんでもない、好きでもない人と結ばれても楽しくない。 どんなに想っても脳裏に浮かぶのはお互いの顔ばかり、そして会えない悲しみ。 日に日に想いは積み重なるばかり。 今頃どうしているのか、心配で心配でしょうがない。 十年もたった今。 幸せだったあの頃を思い返すほど、心臓が貫かれ血が流れてしまいそうなほど痛みます。 いっそ本当に貫かれて死んでしまえばどんなに楽だろう。 黄金の瞳も真紅の瞳も雲に隠れたように退屈で平坦な日々が続く最中、あまりにも可哀想に思った気まぐれな民たちは1度だけ、白い街で会わせてあげようと言うのです。 嬉しいとは思えども、1度会えばまた別れが悲しくなる、と断りました。 しかし顔を見れると思うと堪らなくなり、ついに白い街へ連れていってくれと。 十年もたっていれば、お互いに成長していて分からなくなるなんてことはないだろうか、と思うばかり。 しかし再び会えば一目見た瞬間お互いがお互いを求め合うようにどこか面影があるのに分かってしまうのです。 舞い上がり高揚感に満たされる2人。 大人びたお互いの容姿や声色にとまいどいながらもドキドキしてしまい、あの純粋だった恋心から少しだけ不純なものに変わってしまいそうなほど燃え上がりそうで。 会っても別れはすぐにやってきます。 今生の別れでも会えて良かったと思うのですが、やはり寂しく悲しい。 だからすこしの背きを起こしました。 2人で自分たちを繋いだ海に一緒に沈もう。 互いが互いの体を一生懸命抱き合い、唇を重ねます。髪も瞳も声さえ。 たかが十年されど十年お互いの静かな燃える想いは溢れだします。 どんどん沈んでいく2人。 苦しくなっていき、意識が遠のいていくものの世界で1番、勝手に幸せだと思い込むのでした。 そんなふたりは夢見るのです。 来世で逢おう、と。 来世があるのかないのか定かではないのに、やはり信じたくなるもの。 それでも誓うのです。 次は来世でずっと一緒にいたい。何があっても、なにがあっても。 惹かれ合いたいし、見つめ合いたい、話し合いたい。 夜のツキのような髪の色の海と、昔のタイヨウの髪の色のような暖かい思い出に誓うでのでした。 「また逢う日まで」。 運命もかみさまもこれは困った 死んでしまわれては元も子もないと、 絶対に離れられないように、惹かれ合うように 2人が信じた何千年後かの来世に糸を紡いでしまうのでした。

ともだちとシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

芸歴42年の俺が・・・1歳児の子供に!?俺の次の舞台は異世界!?
...111
33話 / 177,979文字 / 375
2018/9/20 更新
姉から借りたモブ姦BL漫画のモブに転生してしまった哀れな男の話
...16
2話 / 6,970文字 / 66
2018/1/13 更新
屋上にはユーレイがいる
...20
4話 / 9,317文字 / 53
2018/1/31 更新
1話 / 450文字 / 0
2/21 更新
ヤリチンDKがヤられる話
4
1話 / 3,617文字 / 29
5/3 更新
イケメン忠犬×ツンデレにゃんこ