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第18話

あまりにも切ない顔で見るから、俺は声を掛けずにはいられなかった。だが、天王寺は唇を噛み締めてその手の震えを必死に抑えているようだった。 「触れることを禁止されておるのはわかっているのだ……。けれども、私は触れたいのだ、こんなにも」 「……」 「これほど近くにいても、私には姫に触れることが許されていない」 俺に触れる許しが欲しいと、天王寺はじっと俺を見つめる。澄んだ綺麗な瞳がまっすぐに俺を捉える。伸ばされた手が震えながら、俺に触れないようにだけ気をつけて距離を保つ。 そして、天王寺は切なくも優しい笑みを俺にくれた。 「愛しい私の姫、……愛しているのだ、そなただけを」 映画のワンシーンのようなセリフを吐いた天王寺は、ゆっくりと震える手を引いていく。遠ざかる手が離れてしまう寂しさに、俺は思わずその手を掴んでしまっていた。 「あっ、……」 「姫……」 「そんな顔すんなよ」 捨てられた子犬みたいな顔されたら、どうしていいかわからなくなると、俺は困った顔を見せた。掴んだ天王寺の手を俺は引き寄せて触れたいと伸ばした俺の顔に触れさせた。 綺麗な手を俺の頬に添えると、天王寺は一瞬驚いた顔をして見せたが、そのまま包み込みように俺の頬を包み込んできた。 「温かいのだな」 柔らかくそれでいてすごく嬉しそうに天王寺は微笑みながら、俺の頬の感触を楽しむかのようにそっと触れる。 「満足したか」 「足りぬ、全然足りぬのだ」 「……わがままだな、お前」 触っていいと許可してやったのに、天王寺は全然足りないと不平を口にした。もっともっと俺に触れたいと我が儘を言い出す。だからつい聞いてしまったんだ、絶対に知りたくなかった天王寺の欲望を。

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