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【13】金で釣る

「はい?」 「実は最近家政婦をしてくれていた人が結婚するからって辞めちゃったんですよ。それで次の人を探してるんですけど中々ね」 「見付かりませんか?」 「ええ。まず第一に俺に興味が無い人が良いんですけどそんな人滅多に居なくて」 「へー」 「その点滝川さんはミサキ様オンリーですから俺には全く興味無いでしょう?」 「そうですね」 自分で言った事とはいえ・・・正直ヘコむ。 「どうですか?悪い話じゃないと思いますけど」 「う〜ん・・・そうですねぇ」 直ぐに断られないって事は脈が有るって事だ。 そうなると・・・滝川を一押しするには金しか無い。 ポケットからスマホを取り出して電卓の画面を出し、数字を打ち込んで滝川に見せる。 「毎月の給料はこれだけ用意出来ます」 「・・・こ、こんなに・・・」 滝川の喉仏がゴクリと動いた。 「勿論家賃と光熱費は要りません。食費も要りません。何か必要な物があるなら準備しま・・・」 「やります」 「え?」 「やります、やらせてください」 「そう・・・ですか。でもあれですよね、仕事の引き継ぎとか・・・」 「大丈夫です。明日辞めてきます」 「え?」 「明日中に引き継ぎも全部終わらせますんで。引っ越しはいつ出来ますか?」 「え・・・と・・・、いつでも構いませんけど」 「分かりました。早急に手配します。それまでは通いで良いですかね?」 「あ、はぁ」 「では、明後日から伺いますので。何時に伺いましょうか?」 「えっと・・・また明日連絡しても良いですか?」 「はい。ではLINE教えてください」 「はぁ」 物凄くテキパキと事が進み、早くも少し後悔する。 大丈夫か・・・?こんな事で・・・。 「ユズルさん」 「はい」 「欲しいんですけど」 「え!?何をですか?」 「ミサキ様の声」 「・・・あ、そうでしたね。送ります」 LINEのメッセージに添付してミサキ様のモーニングコールを送る。 滝川が鼻息を荒くしてスマホの画面を見ていた。 その姿を見て、内心で首を傾げる。 本当に俺はこの人に恋をしているのだろうか? ちょっと不安になって来る。 鼻息荒くスマホの画面を見ていた滝川が不意に顔を上げて俺を見た。 「有難う御座います!俺、凄く嬉しいです」 そう言って、本当に嬉しそうに笑った。 その笑顔を見て、少し思う。 俺はこの人に恋をしているのかもしれない、と。

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