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本性

「さて...問題はこれで、解決か?  それとも心咲はまだ他に、なんか秘密ある?」 俺の上に乗っかったまま、ヨルはクスリと笑って聞いた。 月明かりに照らされ、彼の銀色の髪がキラキラと輝く。 それは初めて出逢ったあの夜と同じで、とても綺麗で。 でもいまの俺はその髪がとても柔らかく、割と癖の付きやすい猫っ毛である事を知ってる。 そっとヨルの頬に手を伸ばし、触れると彼は少しくすぐったそうに体を揺らし、笑った。 「...ある。」 その返答に、彼の眉間にまたシワが寄った。 「あるんかーいっ!  何やねん、吐き出してみ?  お兄さんが、全部聞いたるさかい。」 激しいツッコミの後、クスクスと笑いながら俺を再度抱き締め直し、言われた。 「俺ね...、ヨルの事が好き。」 その言葉を聞き、彼は一瞬フリーズして...それから口元に手を当て、真っ赤になってふるふると震えた。 「お前...そんなん、反則やろ。  はぁ...もうホンマ、なんでそんなに可愛いん?」 いつもは飄々としてる、ヨル。 なのに俺の子供みたいな告白に、こんなにも心を乱してくれる彼の事がやっぱり好きだ。 「あのなぁ...僕より先に言わんでくれる?  あと、あんまジロジロ見やんで。」 赤く染まった顔を見せたく無かったのか、更に強くなる包容。 でもチラリと盗み見た彼の耳は、やっぱり真っ赤に染まっていて...それが如何に僕の事を好きなのかを物語ってくれてるみたいで、堪らなく幸せだった。 一転...ガッ、と強い力で、離された体。 驚く俺に向かい、優しく微笑んで言ってくれた言葉。 「僕も、好きやで。  他の奴らがお前の事、いらんって言うんやったら...僕に、全部頂戴?」 あぁ...そっか。 俺はきっと、コイツのモノになるために生まれてきたんだ。 絶対にコイツは俺の事、捨てたりはしない。 たぶん逃げ出そうとしたら、どんな事をしても捕まえ、そして取り戻してくれる。 やっぱり、愛が重過ぎるな。 でもそれが、死ぬほど嬉しいだなんて...ホントどうかしてる。 「いいよ。  でもその代わり、ヨルも俺のモノになって。」 自分から彼を求め、キスをした。 *** 自然と深くなる、口付け。 最初は触れるだけだったのに、どちらからともなく舌を絡め、そして貪り合った。 背中にあった筈の彼の手は、ゆっくり下に下ろされて...突然尻尾を、握られた。 先程牙を首筋に立てられ、吸血された事もあり、敏感になっていた体。 しかも今日は満月で、いつもの何倍も、感覚が鋭くなってる。 「ふぁ...んんっ!」 与えられた刺激に体が震え、恥ずかしい喘ぎ声が溢れた。 「あは...やっぱりここ、心咲の弱点?」 嬉しそうに、ヨルが笑う。 「離...せ...っ、それマジで駄目なヤツ...っ!」 暴れようとしたけれど、力ではやっぱり敵わない。 「無...理ぃ...っ!ギブだっ、ギブっ!」 床をタップし、必死に訴えた。 でもコイツは更に口角を上げ、指先で優しくそれを撫で上げた。 「ふぁ...あっ、あっ...っ!」 下半身の、既に固くなってしまった場所と交互に擦りあげられると、いつも以上にいやらしい声が溢れ出る。 彼の手で剥き出しにされた、獣の本性。 「...楽しい夜に、なりそうやな?」 「ふざけんなっ、マジでそれ、やめ...んんっ!」 言葉とは裏腹に、彼の体に手を伸ばし、すがり付いた。 ヨルはやっぱりクスクスと笑いながら、今度は俺の尾に舌を這わせた。 嘘だろ?...そこ、敏感だってもう分かってるじゃん。 信じられないくらい、熱く火照った体。 なのにコイツは、常人の何十倍も鋭い感覚を持つ、耳にまで息を吹き掛けて来やがる。 「後で絶対、ぶっ飛ばす...っ!」 泣きながら、睨み付けて叫んだ。 でもヨルはククッと肩を揺らして笑い、今度は唇にキスをした。 「はいはい、後で...な。  今はいい子にして、気持ちよくなろな?」 この吸血鬼...やっぱサイテーだっ! *** 先程ヨルの唾液でたっぷり濡らされた尻尾を指先で撫でたり、擦ったりして弄びながら、既に大きく隆起した、熱い肉の塊に舌を這わされる。 俺はただ震えながら、ヨルが無理矢理与えてくる刺激に悶え、彼の体にしがみついた。 「ひっ...んっ...!そこ、やだ...っ!」 口から溢れ出すその声は、発情した雌猫みたいに浅ましく、もはや誘っているみたいにしか聞こえない。 「うんうん、ここな。  ...うぁ、めっちゃビクッてなった。  満月の日の感度...ヤバっ!」 楽しそうに、俺の体を好き勝手に弄り倒すヨル。 さすがにもう限界だと感じ、全力で暴れた。 すると彼はフキゲンそうに口元を歪め...それからニッと笑った。 ...なんだ?メチャクチャ嫌な予感がする。 いつもとは異なる、金色の瞳。 それでじっと見つめられると、全身の毛が総毛立つのを感じた。 再び部屋に響いた、キィィィン...という不快な金属音。 全身の、力が抜ける。 「僕もそう言えば、隠してた事あるんやったわ。  ...とっておきの能力、見せたるな。」 軽く舌なめずりをして、彼は笑った。 そしてその表情は、いつものふざけたモノとはまるで異なり、どこか荘厳で...気高く、美しかった。

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