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雉も鳴かずば撃たれまい

「鬼ヶ島さんのところに連れてってやる、別に桃太郎のことが好きだからとか、そんなんじゃないんだからなっ。もっと子種のもらい方、教えてもらったほうが鬼ヶ島さんに――」 「そんなこと言って、絶対桃ちゃんのこと狙ってるんだっ! 桃ちゃんはぼくのなんだからねっ」 「ガキがキャンキャンうるさいんだよ。弱い犬ほどよく吠えるってのは、ホントだったんだな」  両方でキャンキャンキーキー喚かれても桃太郎はどこ吹く風だった。子供の頃から一緒だった犬斗は可愛いし、猿弥だってこのギャップは魅力的だった。しかしどちらも運命というにはまだなにか足りない気がした。まだ見ぬ運命の番に思いを馳せつつ、猿弥が知っているという鬼ヶ島さんの居場所を案内してもらいながら、大きな川沿いの道を歩いていた。  犬猿の仲とは言うがこれほどまで気の合わない二人だが夜になると一致団結して桃太郎を誘っていた。  最初はもちろん喧嘩していた。どちらが今夜の相手をするか。しかししばらくして気付いた。  一人では桃太郎の相手は無理だということに。  そう、桃太郎は絶倫だった。犬斗のときは気を失っても続けていたし、猿弥のときだって彼がもう無理と泣いたところで犬斗が交代したが、桃太郎はまた犬斗を気絶させた。  この川沿いを下れば海に出る。猿弥が言うにはその先に鬼ヶ島さんの住処があるらしい。  犬斗は母親を、猿弥は鬼ヶ島さんに囲われることを、そして桃太郎はまだ見ぬ運命の番をそれぞれ希望を胸に歩みを進めた。 🍑🍑🍑🍑🍑  のどかな田園を眺めながら歩いていると上空から一羽の白い鳥が飛んできた。地上に降り立つとその姿は見る間に人の姿に変わった。長く白い髪に透き通った肌、それとは真逆の朱色の瞳は髪と同じ白いまつげに覆われていた。 「この先に行ってはいけません」  大きな羽を広げて道を塞ぐ美しい男はそう言うと桃太郎たちを睨んだ。 「なんでだよっ! ぼくたちは鬼ヶ島って人のところに行かないといけないんだっ!」 「そうだぞ、オレは鬼ヶ島さんに子種をもらわないといけねぇんだから」  それを聞いた白い男は顔をさらに白くした。 「なりません! あれは……あれは鬼です、正真正銘の鬼なのですよ? そんな人から、こ、子種などとっ」 「貴方はなにか知ってるんですか? あそこにはこの子の母親もいるんです。もし酷いところならば助け出さないと」  桃太郎は怯える男の肩を優しく撫でると、男は羽を小さく畳んだ。なぜか桃太郎が近付くと落ち着かない気持ちとそれとは真逆の穏やかな気持ちにさせられた。 「あなたは一体……? 獣の匂いがしない……、まさか人間?」 「わかるんですか? 確かに俺は獣人ではないですが……」 「分かります。あの島にいたのも人間でしたから……」  どうやら鬼ヶ島というのは人名ではないらしい。そしてそこには桃太郎と同じ人がいる、鬼と呼ばれる人が。  川沿いの土手を下り、川岸へと降り立つと四人は車座になって座った。胡座をかいた桃太郎の左右を犬斗と猿弥が。その向かいには大きな石にきれいに膝を揃えて腰掛けた白い男。彼は自らを雉明と名乗った。 「あそこはもともとは誰もいない島だったそうです。いつしかそこに一人の男が住み着いたのが始まりです。彼は……強烈なフェロモンを持つ、アルファでした。彼のフェロモンに当てられてオメガが集まりだしたのですが、彼はそれだけでは飽き足らず、各地のオメガを浚いはじめました」  桃太郎はそれを聞いて激怒した。自分のしたかったことを先にやられていたのだから。いや、桃太郎はなにもオメガを浚いたいわけではない。きちんと合意の上で酒池肉林をしたかった。それを……っ。桃太郎おは怒りをあらわにして話の続きを促した。 「私はこのように飛ぶことが出来ます。彼のフェロモンの薄い日にたまたま、久しぶりに島を出て故郷へ帰ろうと思ったのです。するとどうでしょう? 島から離れれば、いえ、彼のフェロモンから離れると頭がスッキリするのです。あの島にいる間はモヤのかかっていた思考は明白になり、あの島にいてはならないと気付きました。ですから、こうしてあの島へ向かおうとするオメガを監視していたのです」  猿弥の集落ではフェロモンに当てられて島へと渡った者が多く、桃太郎と犬斗の集落ではフェロモンは届かず、そのかわり人攫いが横行したと。 「しかし人攫いというのは? その島には鬼の彼以外にもいるんですか?」 「えぇ、彼のおこぼれに与ろうとするベータや弱いアルファ等が……。それに彼に頼まれて動くオメガもおりました」  鬼というのはそれほどまでに強い力を持っているのか……。犬斗は震え耳を下げ、猿弥は尾っぽを立てて警戒していた。 「……ですが、貴方なら鬼に勝てるかもしれません」 「どうして?」 「それは……ただの、勘です……」  雉明はそれ以上を口にしなかった。夕日を受けた白い長い髪は茜色に染まっていた。 🍑🍑🍑🍑🍑  雉明の話を聞いて一行は明日にでも島へ渡ろうと決意した。そのためには早く身体を休めなければと近くにあったボロい漁師小屋を見つけると今日の宿に定めた。ほこりと蜘蛛の巣の様子からも今は使われてないのだろう。きっとオメガの漁師が使っていたに違いない。  二人を代わる代わるハメた桃太郎は、それでもまだ余力が残っていた。それというのも犬斗のキャンキャンという可愛らしい啼き声と猿弥のキィキィという叫び声の中に、キ、ギという聞き慣れない甲高い声が聞こえたからだ。それは小さいながらも桃太郎の耳に届いた。  いつもより若干激しめに抱き潰して二人を無理矢理寝かせると、桃太郎は裸のまま腰袋だけを手にして川岸へと歩いた。月を写した川面のようにきらめく白い髪が、昼間の大きな岩場の陰から見え隠れしていた。 「あっふっ♡ き、っ♡ んっ♡ あぁ、っ♡ たりないっ、これ、じゃ……」 「お貸ししましょうか?」  岩陰に隠れたつもりの雉明は身体をビクリと跳ねさせた。その拍子に彼のペニスからはぴゅっと白濁が飛び出した。 「は、っあっ、ダメ、です……、私……故郷に、番候補が、いるのです……っん♡」 「そうですか……。ならなぜ故郷へ帰らないんですか?」 「だって、私、は……鬼に、穢されてっ」  雉明は弁明していた。していたがその指は一向に止まることなく雉明自身の中を抉っていた。細い指では足りないのだろう。泣きながら目の前に差し出された桃太郎のペニスの匂いを嗅いでいた。 「そうだ、これ食べませんか? きびだんごというお菓子です」 「きび、だんご?」  自分のペニスの横に腰袋から取り出したきびだんごを一つ掌に載せて雉明に差し出した。月のあかりだけの川岸でもその色は桃色に光っていた。 「これを食べるとオメガは発情してしまうんです。だから、どうぞ。これのせいにしてしまえばいい」 「そ、んな強引な……」 「アルファのフェロモンだって同じです。強力なフェロモンにオメガは逆らえない。番の方だって許してくれますよ」  桃太郎の言葉がストンと胸に落ちた。鬼のフェロモンに負けて故郷を離れたことに罪悪感を覚えた雉明は帰れなかった。帰れるはずがなかった。しかしあの強烈なフェロモンに打ち勝てるオメガなどいなかった。島には子供も一緒につれてきている母親だっていた。それくらい、鬼のフェロモンは強力だった。  しかし、今日桃太郎に逢って雉明は気付いた。桃太郎のフェロモンは鬼のフェロモンに似ている。しかし何かが決定的に違う。意識を奪ってしまうような強制力とは違う何かを感じ取っていた。  恐る恐るきびだんごを手にし、一口齧る。見た目通りに甘い味が口いっぱいに広がった。どう見ても瑞々しい食べ物ではないのに、口の中には汁が溢れた。 「……桃の味がします」 「桃、ですか? ……なるほど、ばあさん俺のはいってた桃の種を取っておいたのか……」  犬夫婦と共に燃やしたと聞いていたが、実はあのとき、桃太郎の手には桃の種が握られていた。桃の種は元来、人の血の巡りを良くするものとして利用されていたが、桃太郎のはいっていた桃である。オメガの血の巡りを良くする、ひいては発情を促す効果があっても不思議ではなかった。 「おいしい……、これもっといただけ、ますか?」  涼し気な目を細めうっとりと見つめる雉明からは迷いが消えていた。夕刻に話をしていたときからずっと桃太郎のフェロモンに当てられ、別れた後も気になってつい後をつけてしまった。漁師小屋から漏れ聞こえる二人の嬌声と桃太郎のフェロモンに我慢出来なかった。岩に隠れて始めた自慰は鬼との交尾よりも、没頭させられた。  番候補の彼のコトを忘れたわけではない。でも今は目の前のペニスが欲しくてたまらなかった。これはきびだんごとフェロモンのせいだと言い訳を用意してくれた桃太郎に感謝の気持ちを込めてその先端に舌を伸ばした。 「おなじ、味がしますね……桃の味」 「お好きなだけどうぞ」  雉明は舌を先端に当てたまま、大きく開いた口で桃太郎のペニスを飲み込んだ。舌先で抉るように尿道を刺激すると先程までの残滓が漏れた。雉明の口淫は巧みだった。犬斗や猿弥に教え込むのもいいが、慣れた口使いで施される快楽もまた良い。桃太郎はされるがままに扱かれ、その喉奥に叩きつけるように吐精した。  ごくりと飲み込む雉明はまさに妖艶。赤い唇からこぼれ落ちる白濁をも舌で舐め取ると、頬を上気させた。 「まだ、こんなに……。やはり、お強いんですね」 「そうですか? 自分ではわからないですが……。ああここではちょっと身体を痛めそうですね」  河原は岩と石ばかり。雉明が背にした大岩も二人で乗るには厳しそうだ。雉明を立たせてするのもいいが……。少し逡巡した桃太郎は両腕で雉明を脇から持ち上げて抱きかかえた。驚いた雉明がその首にすがりつく。 「ああ、そのまま腕を回していてください。これなら貴方を傷付けることなくイけそうです」 「え? どういう……っ♡ あ、っ♡ そんなっ♡ いきなり、おくっ♡ きっ♡ ぎっ♡」  桃太郎は抱え直した雉明の尻をむんずと掴むとその尻めがけて腰を突き上げた。さんざん自分の指で広げていた雉明のアナルにすっぽり収まってしまい、雉明が嬌声を響かせた。話しているときの穏やかな声音とは一転、甲高い啼き声だった。  抜き差しするというよりは揺するだけの動きが、逆に雉明を刺激した。奥にずっと触れたまま揺さぶられる度に雄膣全体を戦慄かせる。太く熱い桃太郎のペニスの脈すら感じ取れるほどに密着していた。 「あっ♡ あっ♡ これ、ぜんぶ、いい、っ♡ おくも、かべもっ♡ いちど、にっ♡ イくっ♡」 「好きな時に、イっていいですよ? 何度でも。全部、きびだんごのせいですから」 「あぁっ♡ ナカ、またっ♡ だめ、っ♡ きびだ、んご、すごすぎるっ♡ イくのが、とまらな、いっ♡」  じんわりと滲み入る快楽が全身を駆け巡り雉明は何度も中を痙攣させて絶頂した。桃太郎もまたその度に締め付けられて激しく動くことなく搾り取られるようにその精を吐き出したのだった。

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