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鬼に金棒

「なんで!? なんでこの人も行くことになってるのっ!!!!! しかも桃ちゃんの匂いしてるっ!」  犬斗がキャンキャン吠えた。 「オ、オレは別に、っ気にしない、んだからなっ。オレは、鬼ヶ島さんに子種、もらうんだから、鬼ヶ島さんに!」  猿弥がキーキー叫んだ。 「あなたたちが何かの役に立つんでしょうか? 足手まといだけにはならないでくださいね」  雉明はけんもほろろに退けた。  ぎゃんぎゃん騒ぐ三人を他所に桃太郎はひたすら船を漕いだ。どうも島に近付くたびに胸がざわつく。あの島には何かがある、いや確実に運命の番がいる。桃太郎はそう確信していた。オメガに比べても普通のアルファに比べても桃太郎はフェロモンを嗅ぎ分けるのが苦手だ。それは人間だから、かもしれない。獣人たちの嗅覚に比べると格段に落ちる。  それでも島から漂うフェロモンは桃太郎に届いたのである。前に養父である丈士に言われた言葉が脳裏をよぎった。 『いいか、桃太郎。アルファだとかオメガだとか、そんなのは関係ねぇんだ。運命っていうのはな、出逢った瞬間分かる。まぁ俺たちよりもお前は鈍感だから分からねぇかもしれねぇけどな。それでもこれは抵抗出来ないもんなんだ。俺たちみたいなアルファ同士ですら結びつける、強固なもんなんだ。だから、見つけたら絶対逃すな、いいな?』  丈士は事あるごとに桃太郎に教えた。番とは、運命とは。狩りの仕事の最中や、養母の万里を抱えながら。万里もまた桃太郎に教えを説いた。 『まぁ、俺たちみたいなのはっ、異端だけど、な……っ! それでも、俺たちは幸せ、なんだ。っっ分かるな? あっ♡ も、乳首、だめだってばっ♡』  説得力のある台詞だった。万里だってアルファでその辺のアルファよりは体躯も良く強いフェロモンを放っていた。なのに丈士とともにいることを選んだ。二人の絆を毎晩見て、桃太郎は運命を切望した。二人のように強い絆で結ばれた相手が欲しいと。  獣人たちのような嗅覚があればもっと早くに見つけられたのではないかと考えたこともあった。なぜ自分だけ人間なのかと。しかも桃から産まれるなんて。身体はどんどん成長し、知識は知らずと脳に蓄えられていた。奇異なことばかりの己が身だが不思議と不安はなかった。  この匂いの元であるオメガと交尾をすれば確実に分かる。桃太郎は期待に胸を、興奮で股間を膨らませていた。 🍑🍑🍑🍑🍑  島に上陸した一行は雉明の案内で館の裏までたどり着いた。道中すれ違うものはいなかった。 「こちらは普段から人がいないのですが、今日はやけに少ないですね」 「まぁ見つからなくてよかったんじゃない?」 「なんかあったのか?」  三人が顔を突き合わせて話している横で桃太郎はあたりを見回していた。この島のどこかに自分の運命の番がいる。そう思うと気が逸るのを抑えられなかった。静まり返った館にそっと入り込むと男の大きな声が聞こえてきた。 「あぁそろそろハーレムメンバー変えてぇなぁ……獣耳っ娘とか、ヤンキーギャルとか……。そういや色白美人さん最近見掛けねぇな。人数多すぎてルーティンが回んねぇだけか? さっすが神様からもらったチート、マジ俺Tueee、はっはっはっはっは」  低い声で男が笑うと、雉明の足が止まった。柱の角から覗き込むと、男は館の縁側に腰を下ろしていた。大柄な体躯に袴だけを履いて、上半身は見事な筋肉をさらけ出していた。 「あれが鬼?」 「そ、そうです……。しかし、前はもっと恐ろしいほどの強烈なフェロモンだったのですが」 「確かに、強いけど……言うほどでもないよね」 「あれが、鬼ヶ島さん? オレもっとスゴイの想像してたんだけど」  鬼に対しての感想が口を付いて出た。桃太郎にはわからないが鬼のフェロモンは弱まったのだろうか? 一度味わったはずの雉明はもちろんのこと、犬斗も猿弥もそのフェロモンにあてられることなく正常を保っていた。三人は心中こう思っていた。これなら桃太郎のフェロモンのほうが強いと。  この中で一番平静でいられないのは桃太郎かもしれない。 「見つけた……」  桃太郎はそれはそれは見事に笑った。間近で見てしまったせいで三人は腰が砕け、床に倒れ込んでしまい、どさりと音を立てた。 「誰かいるのか?」  桃太郎は角を曲がり姿を表すと鬼はにやりと笑った。 「なんだ、俺に抱かれに来た新入りか。……イケメンも悪くないな」  鬼の言う言葉は時折桃太郎には理解出来なかった。しかもオメガと勘違いされているようだ。運命の番であるオメガを探しにここまで来たのに、相手はアルファ。それも桃太郎に匹敵するくらいには強いフェロモンの持ち主だ。  けど、桃太郎の本能は彼を運命の番だと感じていた。間違いない。養父母の言った通り、出逢った瞬間、分かるのである。そして丈士はこうも言った。 『絶対に逃がすな』  勘違いしているのであれば寝床に持ち込むのは簡単である。桃太郎は鬼の誤解を敢えてそのままににっこり微笑むとぱさりと羽織を脱いで足元に落とした。 「さっそく試してみますか?」 「いいね、淫乱かよ。俺そういうの嫌いじゃないぜ」  縁側の障子の先に整えられた鬼の寝床になだれ込むと桃太郎は鬼の唇に吸い付いた。男らしい大きく分厚い唇は少しカサついていて、それを舐め取るように舌を這わせると鬼もまた返すようにして桃太郎の下唇を食む。何度も角度を変えて唇の感触を味わってから、今度は互いの舌だけを重ね合わせた。 「はぁ、はぁ……」 「ん、っん、ふぁっ」  ぴちゃぴちゃと鳴り響く水音と男二人の息遣い。そして部屋に広がる二人のフェロモンはどんどん濃くなっていった。  口づけを交わしながら鬼が桃太郎の着物を脱がせている合間に、桃太郎は鬼の胸元に手を添えた。おそらくこれまで攻められることがなかっただろう鬼の身体に、これからじっくりと教える必要がある。慌ててはいけない。引き締まった筋肉を確かめるだけにとどめた。  悪戦苦闘しながらもようやく鬼が桃太郎の着物を脱がし終えると、その中心にぼろんと大きなモノが飛び出た。 「でけぇ……」 「貴方のもご立派ですよ」  その大きさに目を丸くしている鬼を尻目に桃太郎はいともたやすく鬼の袴を剥いだ。桃太郎のよりはやや小ぶりだが太さのあるペニスはたしかにアルファのものだった。桃太郎はそれを握ると自身のペニスにこすりつけた。鬼はその感触に、熱に驚いた。 「な、んだ? これ……あっつい」 「もっと熱くしてあげよう」  桃太郎はひざまずくとおもむろに鬼のペニスを口に咥えた。太さがある分少しキツイがむしろそれは密着感を与えられるため、鬼のペニスはさらに硬くなった。桃太郎はさらに強い刺激を与えようと、両手で鬼の尻を掴むと頭を前後させより深く咥えこんだ。 「ああっ、きもちいい……、ディープスロート、とかすげぇ……うっ」 「きもひ、いいれすか?」 「そこで、喋んなっ! 舌が、当たって、やべぇ」  鬼はこれまでたくさんのオメガと交わってきた。オメガたちは鬼のフェロモンで自らの孔を濡らしそこへ導いた。腰を突き動かしてオメガに精を何度も注ぐのは大層気持ちが良かったが、今されている口淫はそれとはまた違った、さらに特上の快楽だった。  鬼は思わず射精しそうになるのを別のことを考えることで耐えようとした。  鬼がこの島にたどり着いたのは三年前。気付けばここにいた。  まだ「鬼の魁」と呼ばれている頃だ。高校生の魁は不良だった。髪は金に染め、ピアスを開けて、拳は拳ダコができるくらいには人を殴り飛ばしていた。そんな魁だが実は隠れオタクで夜な夜なケータイで小説を読んでいた。いわゆるなろう系チートモノである。よわっちい主人公が異世界に転移してそこで成り上がる物語である。  魁は思った。もともと喧嘩の強い俺が行けばチーレム余裕じゃね? と。  そんなある日不良チームの抗争で金属バットで後頭部を殴られ、気を失うと、真っ白い世界に飛ばされた。すぐさまこれは異世界転移の前触れだと思うくらいにはなろう系にハマっていた。  ウサギの耳をした美しい女神が魁に告げたのはテンプレのオンパレード。  本当はここで死ぬはずではなく手違いだった、身体には戻れないため異世界に転移させる、だからあなたにチートを授ける。まさしくテンプレ通りの言葉に魁は浮かれた。 『チーレムでお願いします!!!』  女神は不敵な笑みを浮かべていたがそれに気付くことなく彼にチートを付与した。  降り立ってみればそこは小さな島に広い館がぽつんとある寂れたところで、魁は落胆した。泳ぎでは辿り着けそうにない先に陸地が見えたが重い腰が上がらない。  館にある食べ物を食いつないでいたら、ある日鳥が舞い降りた。その鳥は魁の目の前で人型になると美しい美少女になった。魁はやっと現れたハーレム要員に歓喜した。彼女はあろうことかその場で魁を誘う。  こんなに簡単でいいのか? と戸惑ったものの据え膳食わぬは男の恥とばかりに、童貞を捧げた。そう、魁は童貞だった。  それから幾日もしないうちに魁の島には人が集まってきた。理由が分からなかった魁に教えてくれたのは最初の美少女、美鶴だった。 『あなたにはオメガを誘うフェロモンで溢れているの。だからこうしてみんなあなたに惹かれてしまうの』  彼女からオメガとは、アルファとは、獣人とはというこの世界の常識を教えられた。まさにチーレムと魁は完全に調子に乗っていた。可愛い女の子だけでは飽き足らず、人妻や、男の娘など、好みのオメガが来ればすべてを受け入れた。時折、彼らを追って来たらしいアルファやベータもいたが、それは拳で片付けた。すると今度は魁に破れた男たちはオメガを献上しにきたのである。  魁はまさに俺tueeeを満喫していたのである。  射精を我慢するためによそ事を考えていた魁は気付いていなかった、桃太郎の手が己の尻を堪能していることに。桃太郎は魁の尻を揉みつつ小指を少しずつ奥へと滑らせていた。踏ん張るために大きく開いた足のおかげで会陰まですんなりたどり着くと会陰から陰嚢へ、そしてまた会陰へと繰り返し指を滑らせた。だんだんとその動きを大きくさせて、時折アナルへと到達すると、口に含んだ魁のペニスが反射で震えるのを感じ取り、桃太郎はイケると確信した。  さんざん、養父母の交尾を見ていた桃太郎である。オメガと違い濡れることのないアルファのアナルはじっくり時間を掛けて解すものである。しかし桃太郎も運命の番を見つけて気が急いていた。せめて指一本でも挿れてさらなる反応を試そうと欲を出した。 「んぁっ、てめ、どこ触ってやがるっ、うっ」 「ふまなひ。ひょっと、ゆびは、すへって……」 「くっそ、フェラしたまま喋るの、やべえっ出るっ、くっ」  小指の先が入ったせいで魁に不審がられたのを誤魔化すために、桃太郎は陰嚢を揉みながら謝罪した。不規則に当たる舌が魁のペニスをくすぐり、陰嚢から押し出されるようにして、魁は射精した。たっぷりと吐き出すと桃太郎はその最後の一滴まで搾り取るようにして竿を根本から扱いた。 「あぁ、きもちいい……。あんた、すげえな」 「ははは。これからが本番ですよ。俺が上になるから、さあ」  そう言うと桃太郎は魁に寝そべるように指示した。魁は疑うこともなく仰向けに寝転ぶと桃太郎はにこりと笑った。魁はその笑みをみてうっかりときめいた。イケメンも悪くないなと。そのうっかりがまずかった。  桃太郎は魁にまたがるとまず、自分の髪を結っていた紐を解いた。ふぁさっと流れ落ちる黒髪はまるでシャンプーのCMのようだと魁は思った。そしてそのまま桃太郎は魁に覆いかぶさると魁の口を塞いだ。先ほどと同じように胸元の筋肉に指を滑らせながらその指を徐々に上へと進ませた。その間も舌は魁の口内をいやらしく蠢かせて。自分の精液の味がする舌に魁は少し不快感をあらわに眉をしかめたが、桃太郎はかまいもせずに貪った。激しい口づけに魁が息を荒げる頃にはその魁の両手を掴んでいた。互いのペニスがこすりつけられ、魁の期待がさらに高まったころ、桃太郎は手にしていた髪紐で魁の両手首を縛った。 「あ? な、にしてんだ」 「だからこれからが本番だって言っただろ?」  長い髪をかき上げて上体を起こした桃太郎の身体の中心にそびえ立つ桃の木は最初に見たときよりもさらに大きく育っていて、魁は総毛立った。

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