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第12-1話現実はあまりに厳しく

 三矢の二人乗りバイクに乗せてもらいながら、俺たちは三矢のアパートへと向かった。  一秒でも早く敦士の元へ向かいたいのだろう、三矢は制限速度を無視したり、右へ左へと車の間を縫うように走ったりして、危うい走行を続けていく。とても褒められたものではないが、彼の気持ちを察して俺は無言で背中にしがみつき続ける。焦る気持ちは俺も同じだった。  信号待ちをしている間、三矢は俺に状況を教えてくれた。 「卯野さんは、敦士さんから弟のことは聞いてますか?」 「ああ、先天性オメガ機能不全症候群だと聞いている。敦士は今日も弟さんの看病をしていたのか?」 「そうなんですよ……敦士さん、ここ最近は症状が落ち着いてきたって喜んでたんですけど……親が看病できる時はいいんですけど、その親も体が弱くて……キツい思いして看病して、ひと通り終わったら俺や他の連中の所に駆け込んで、アルファの衝動が治まるのをひたすら待ってるんですよ」  ため息交じりに三矢が話をしていると、信号が青に変わる。  エンジンをふかしながら、胸に溜め込んでいた重りを吐き出すように三矢は大きな声を出した。 「同じアルファとして見ていられないんですよ! どうにか楽にしてあげて下さい!」  バイクを加速させていく三矢の後ろで、俺は「もちろんだ」とハッキリと答えた。  研究所を出てから二十分ほどして三矢のアパートへ到着した。  三矢を先頭にして階段を駆け上がって三階まで行くと、細く狭い廊下を歩いていく。そして中ほどにあるドアの前で三矢は立ち止まると、鍵を開けて中へ俺を入れてくれた。 「こっちです、卯野さん……この中に敦士さんがいます」

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