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第46-3話●激情

 マンションの部屋のドアを勢いよく開け、敦士は俺を引きずり込むようにして中へ入る。そしてドアを閉めた直後、荒れたキスを俺に食らわせ、壁に押し付けてくる。  力の抜けた俺を崩れ落ちさせまいと固定するかのように、敦士は俺の脚の間に自分の脚を割り入れ、体を密着させてくる。衣服で互いの肌が隔たれた状態でも敦士の体温が熱くなっているのが分かり、体が今すぐ俺を欲しているのが伝わってきた。 「……ん……っ、ま、待て、話を……ぁ、んむ……ッ……」  事情を説明しなければと敦士の唇から一旦離れてみるものの、すぐに追いかけてきて唇を奪ってくる。もう外ではないから遠慮はいらないだろうと言わんばかりに、敦士の舌の動きはより濃密に、淫らに蠢いて、俺の快感を強引に掻き立てていく。  拒む気はないものの、せめて話をさせてもらいたいと抗っていたが、それが叶いそうにないと悟った時点で俺は足掻くのを止める。敦士の首に腕を回して俺からしがみつくと、念入りに口内を犯してから敦士は唇を離した。  熱くなって紅潮しているであろう俺を覗き込む敦士の顔は、怒りよりも悔しさが溢れ出た、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。 「あの人に……尚信さんに、何をされた……?!」 「……今日、俺が研究所で倒れて……それで、介抱してもらった――」 「唇にどんな介抱を? 全身に匂いを付けるようなことをされて……受け入れたのか、あの人を……っ!」  激情をぶつけてくる敦士を見つめながら、敦士が夜中に呟いていた『あの人』が尚信のことだったことを確信する。  俺よりもずっと前から尚信の気持ちに気づいていて、それでも俺を奪いに来ていたという事実に胸が締め付けられる。  誰が悪い訳でもない。なのに俺を想ってくれている二人ともを苦しめている自分が、嫌で嫌で仕方が無くなってしまう。

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