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第15話 愉しませたい

顔が一気に熱くなってくる。 町田の肩を押さえつけ、肌に歯を立てたり、きつく吸い上げた。首を振って町田は抵抗する。 「あ……あ、ん」 「どれだけ経験しているんですか。十人、二十人?」 「ん……女は、ふたり。いつもバックで。男とはしたことがない」 朝比奈は動きを止めた。町田が睨んでくる。 「何だよ。少ないと思っているのか」 「いや、答えが返ってくると思わなくて……痛いっ」 思い切り頬をつねられた。 「聞く気がないなら質問するな。で、きみはどうなんだ?」 朝比奈は渋い顔をした。答えにくいことを答える羽目になってしまった。しかし自分も言うのがフェアだろう。 「あ、ああ、そうですね……もう少し、少ないですね」 「ひとりか」 「うーん、もうちょっと少ないです」 「まさか、童……んっ」 町田の口を塞いだ。反対の手で町田の中心を握った。 「そうですよ、童貞だからこういういじわるなこともするんですよ」 「ん、ん――」 バレてしまったのだから、もう抑えなくてもいいだろう。やや性急に町田を追い立てた。 淫らに育っていく町田の屹立をじっくりと眺めた。 漏れ出た透明な先走りが朝比奈の指を伝う。汗とは違う、体液特有の蒸れた匂いが部屋に立ち込める。町田は眉を寄せている。 強く擦ってやると躯を震わせた。黒い髪が乱れていく。 「う、ん、ん」 「かなり興奮するな、これ」 無理矢理しているような気分になってくる。 突然、腰が浮き上がるくらい、町田は足を突っ張らせた。朝比奈の腕に爪を立てる。 眦に涙が浮かんでいる。限界が近いのだろう。更に強く、町田の欲望を擦り上げた。押さえていた手を外す。 「ほら、出して」 「あっ、ああ!」 背を仰け反らせ、町田は精を放出した。 ぼんやりとしたまなざしで汚れた自分の腹を見つめている。そのあいだに、粘りを指にまぶし、朝比奈は町田の秘所を突いた。 「ん、うう」 反発するかのように、町田の尻の筋肉が震える。しかし、朝比奈は太い中指を町田の奥へ押し込んだ。 指の腹を使って、中を広げていく。徐々に町田の内壁は、朝比奈の指を飲み込むように動き始める。 「あ……あ、ごめん」 「なんで謝るんですか」 ひどいことをしているのだから、拒まれても仕方がない。もちろんやめるつもりはないが。 「初めてなら、僕が、あ、愉しませないと……だから、好きなように挿れろ――う、くっ!」 驚いて、思わず指を突き立ててしまった。 どうして、町田はいつも自分を燃え上がらせてくれるのだろうか。朝比奈は指を抜いた。 町田の膝裏を抱え、大きく広げる。両膝を曲げさせ、向かい入れるような形を取らせた。 熟れたように色づいている町田の深いところが露わになる。 「くそ、もっとゆっくりしたかったのに」 「それでい……い、ん――う、う」 充分に反り返った己の先端を、町田の窄まりに擦りつけた。 たったそれだけでも感じるのか、町田は歯を食いしばって悶えている。 触れ合ったところが芯をもったように熱い。初めて感じる他人の熱だった。 腰を進め、固く閉じている蕾を割った。 「あ、あ……」 切っ先を挿れた瞬間、町田は目を見開いた。痛いんだろうなと頭の隅で思った。 でも、早く町田の中に注ぎたいという欲が、先行する。 町田が腰を引いた。 きっと無意識に痛みから逃れようとしているのだろう。片手で町田の脇腹を掴み、反対の手で更に足を開かせた。 それでも躯をくねらせるので、両手で腰を抱えると折り重なるようにして身を沈めた。 上から下への重みを使って、町田を穿つ。 貫いた瞬間、今まで感じたことがない昂ぶりが背筋を走った。 一瞬、脳が溶けてしまったような錯覚が起った。うっかり射精しないよう、歯を食いしばってこらえる。 他人の中に己を埋めるだけで、こんなに気持ちよくなれるのか。息を吐いて、町田を見下ろした。 「あ、ああ……あ」 朝比奈が根元まですべて収めても、町田は喘いでいる。 朝比奈の呼吸に合わせて、町田の内側がわななくように蠢いている。朝比奈は息を整え、町田を抱え直した。 すぐにでも中を突きたいが我慢したほうがいいだろう。やさしく抱きしめ、町田が落ち着くのを待った。

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