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第11話 夜は熱く
いますぐ寝室を飛び出したくなった。
飢えた獣のように思われた。淫らでいやらしい自分の欲求を知られてしまった。
目を伏せ、唇を噛みしめた。
「……すみません、あなたのことを考えて汚いことをしていました。ずっとしたくて、抑えきれなかった」
「自慰なんて汚くない。でも言ってほしかったな。風呂場に飛び込んで襲いたくなったよ。俺も同じ気持ちだから……」
唇が胸から腰にかけて滑っていく。ときどき、音を立て、慰めるようなキスをしてくれた。
躯の欲求は日に日に大きくなるのに、決心がつかなかった。したくてたまらないのに、いっしょになりたいのひとことが、言えずにいた。
「加賀谷さんもしたかったんですか」
「ああ。晴之のことを考えたら、ここが疼く」
私の手を取ると、加賀谷さんは自分の欲望に触れさせた。
下着越しでもわかる。張り詰めていて熱を持っている。加賀谷さんが下着を脱いだ。
「あ……」
思わず声を出してしまった。
彼の中心は、思ったよりも欲望をたぎらせていた。
「もっと撫でてみろ。触られるだけで、すぐに膨らんでくるよ」
「うわ……本当だ」
「男は好きな人に触られると、がんばろうって元気が出てくるんだ。いま俺のここは、『晴之としたくてたまらないよお!』って、叫んでるんだよ」
加賀谷さんが言った通り、私が指でさすっていると、彼の屹立は更に質量を増していく。
「もう少し指を伸ばして、裏側を擦って……ああ、そうだ、それでいい」
唾を飲み込み、私は加賀谷さんの欲望を弄った。
彼のここは私のとは違って、使われたことがある。
どんな風に相手の躯を貫いていったんだろう。想像できない。たぶん、こんなに大きいんだから痛がる女性もいたのではないか。
自分の手のひらで育っていく加賀谷さんのものが、禍々しい凶器に見えてきた。
触っているうちに、自分の中心が張り詰めてきた。気づかれないよう足を閉じて熱を逃がそうとした。弄ってないのに興奮するなんて、はしたないじゃないか。
「くっ、う」
突然、彼の昂ぶりが震え、透明な露が零れた。加賀谷さんは歯を食いしばった。びっくりしたので、私は手を引っ込めた。
「ごめんなさい、痛かったですか」
「そうじゃないよ。ちょっと気持ちよすぎた。晴之は、自分以外の男のものって見たことがないのか」
「いえ、プールの更衣室で見たことあります。でも、こんなことになっているのは初めて見ました」
「戦闘態勢になっているのは見るわけないか。それじゃあ、晴之のも見せて」
「え、ちょっと待って」
感じているのを知られたくないので、私は身を捩った。しかし、取れかかっていたタオルを剥ぎ取られた。
包み込むように中心を握られた。
「結構いいもの持っているじゃないか。それに、ちゃんと熱くなっている」
「痛いっ」
加賀谷さんが私の太腿を割り開く。限界以上に広げられ、内腿の筋肉が引き攣れた。
これだけなのに、と言って加賀谷さんは笑った。
「晴之。これからは毎晩ストレッチしような。躯がやわらかくなったらいろんなことを教えてやるよ」
「いろんなことって何ですか」
「晴之が泣いちゃうこと……ふうん、未経験は色が薄いのか。かわいいな」
「ああ」
息を吹きかけられて、やわらかくて生温かいものが中心の先端に触れた。内腿が震える。
腰の奥から背筋にかけて一直線に、快感が走りぬけた。
「キスひとつで硬くしやがって。もっとしてほしいのか」
「いや、いやです。ん、ん……」
「感度いいな。やりがいがあるよ」
「あ……だめです。ああ」
張り出したところを舌で舐められた。それだけで感じる自分が悔しい。声を押し殺したけれど、腰が揺れてしまう。
顔を上げたら加賀谷さんと目が合った。
熱っぽくて潤んだ瞳だった。
私の目を見ながら、先走りを吸い上げている。
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