26 / 34
第26話 ここも、ここも、俺のものだ
脱衣所で互いの服を脱がせ合った。バスルームは明るいクリーム色の壁に光が反射されて、眩しかった。洗面器やボトルスタンドは淡いグリーンで統一されている。
椅子を脇にどけ、加賀谷さんは床に座った。あぐらをかくと太腿を叩く。
「こっちにくるんだ。ほら、もっと近づいて」
加賀谷さんは私の腰を引き寄せた。同時に、ほぼ正座に近い形に座りなおす。
だから、自然と私の足は開いた。
大きく開脚した私が加賀谷さんの両腿に乗っかっている。私の腹部に腕を回しながら、加賀谷さんは呟いた。
「これでよし。ちゃんと洗えるし、よく見える」
何がよく見えているというのか。私は鏡に目をやった。
「あ……」
恥ずかしげもなく私は股を晒している。
下生えとそこに身を潜めるようにして存在している男としての証が丸見えになっていた。私の下半身全体が明かりに照らされている。
言われるがまま動き、最も恥ずかしいところを自分から見せたのだ。私が淫らに振る舞うように加賀谷さんは誘導したのだ。
そう気づいた瞬間、私の中心は硬くなった。しかも、勃ち上がってくる。慌てて泡を鏡につけてごまかしたのに、加賀谷さんにばれた。
「まずは、ここをきれいにしようか」
「やめて、ん、ん……ああっ」
握られ、擦られ、扱かれ、あっという間に私は達した。
加賀谷さんに触られると、どうし肌が震えるんだろう。気持ちよくて、気持ちよくて、声が出てしまう。
加賀谷さんは泡を自分の躯につけて、私を背中から抱いた。スポンジで洗おうと言ったのに、加賀谷さんは聞かなかった。
私は射精したあとの脱力感でおとなしくなっていた。
加賀谷さんは指で薄い私の下生えを梳かした。私の秘毛が彼の指に絡んでいる。
滴り落ちる白濁と、私の根元に生えた黒と、泡立つ石鹸の白が混ざり、はっきりとしたコントラストになった。淫靡な光景に目が離せない。
加賀谷さんは、泡にまみれた私の毛を指先で扱いた。
「ここを弄るだけで興奮してくる。俺も晴之と同じだ」
俺も同じってどういう意味だろう。聞き返そうとしたら、加賀谷さんは言葉を続けた。
「晴之がどんな反応するかなと思って、風呂場に自分の毛を置いておいたんだよ。おかげで晴之のよがり声が聞けた」
「あ、あれは……わざとだったんですか」
「ああ。昨日は毛が抜けなかったからやらなかったけどな」
私は加賀谷さんが仕掛けた餌に、食らいついたのか。
でも、加賀谷さんを責める気にはなれなかった。自分で勝手に欲情した。彼はただ、きっかけを作っただけだ。
加賀谷さんは私の上体を倒した。
「あ、何……」
やわらかいものが私の背筋に沿って滑った。振り返ると、加賀谷さんが私の背に顔を押しつけていた。
舌で、私の背中を舐めている。
「ん……すごい、すべすべしている。それに、甘くておいしい」
私は肩と背中を動かして彼の愛撫から逃れようとした。首筋の敏感なところを舐められ、私は暴れた。
「逃げるとひどいことするよ」
「くっ、う!」
軽く歯を立てられた。痛みと快感で私の背がしなる。起き上がった私の上半身を、加賀谷さんは後ろから支えた。
密着させた腰と足、手を動かし、加賀谷さんは私をきれいにしていく。
強く胸の突起を引っ張られ、私は声を上げた。痛いからではない。痺れたような感覚が走ったからだ。
私は背をのけぞらせ、息を吐いて、刺激をやり過ごそうとした。加賀谷さんは執拗に私の胸を攻めてくる。
両手で胸を庇うようにしたら、尻を両手で掴まれた。尻の丸みに沿って手が動いていく。
加賀谷さんの息が荒い。彼の熱い吐息が背筋に当たるので、私は身悶えした。
不意に、両方の肉を左右に割り開かれた。
内側の皮膚に空気が触れる。加賀谷さんに息を吹きかけられたような気がした。
「晴之……晴之は、俺のものなんだよ」
私の尻を掴んだまま、加賀谷さんは指を動かした。
「ここも、ここも、俺のものだ」
ともだちにシェアしよう!