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第33話 ひとつになれた

「晴之、晴之……」 目を開けると私は浴室にいた。腰にはタオルが巻かれている。 加賀谷さんは、横抱きにした私を両腿に乗せて座っている。 私の名前を繰り返し呼びながら、全身に唇を落としている。 息をするのがやっとだった。くちづけされても意識がはっきりしてこない。 「……終わったんですか……」 私の声は枯れていた。 「ああ。ちゃんとできたんだよ」 潤んだ瞳で私を見つめている。私の手をひたすら撫でてくれた。 「がんばった。晴之は、すごくがんばったよ」 「よかった……今度はできたんだ」 涙が頬を伝った。 加賀谷さんは頷き、すすり泣く私の頭を撫でてくれた。 泣くのをやめたいのに、涙があふれてくる。 見つめ返しているうちに、焦げつくような狂おしい記憶がよみがえってきた。熱っぽい彼のまなざし、荒々しい声を思い出した。 加賀谷さんに愛された。この肌で、心で、加賀谷さんを感じた。 「怖かったけど、できたんだ。か……」 私は、息を整えた。寿さん、と言った。 「寿さん、愛してる」 「やっと、名前で呼んでくれた」 微笑みながら彼は私の唇を奪った。抱きつこうとしたら、腰に鈍い痛みを感じた。 抱かれたという確かな感触だった。

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