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恋のバカンスは、予言通りにはいかない!?【ビーチボーイズ #3-3】

「あ、土岐? 俺、さ……んぁっ、んっ」  波しぶきの音に包まれ、熱く翻弄してくる土岐に溺れていた俺だったけれど、荒い呼吸の合間に背後を振り返った。土岐に言いたいことがあったからだ。  なのに、その俺の顎を捕らえた土岐が肩越しにキスをしてきたから、途中で言えなくなってしまった。 「はっ、あっ……あんっ」  おまけに、乳首を摘まんでいた指がピンっと引っ張って、そこをくにくにと擦る動きを始めたから、土岐に塞がれた唇からは熱くこもった喘ぎ声しか出ない。 「ふぁ、ぁ……待って? 俺……」 「まだだ。まだ、やめない」 「ふぁっ……あ、あぁっ」 「ほら、こうすると気持ちいいだろう? 時間も気にするな。もう少し可愛がってやる」 「あっ、違っ……」  そうか。土岐は、俺がやめてほしいって言うと思ったんかな? だから、何も言えないようにこんな風にキスして、そんで……。  違うのに。全然、違うのに。 「は……違っ……なぁ、聞いて?」  だから、苦しい体勢でのキスに精いっぱい応えながら、「聞いてほしい」と続けた。 「ん? 何だ?」  そうしたら、優しい土岐は、やっぱりちゃんと聞いてくれるんだ。 「言いたいことがあるのか? 言ってみろ」 「あぁ、ぁ……んっ!」  胸の粒を弄くり回す指は止めずに、だけど。 「あの俺、俺さっ……お前と触れ合えるなら、正面から、が、よくてっ。だから……あっ、あんっ……あぁっ」  『言ってみろ』って言ってくれたから、伝えてるのに。最後まで言えずに、岩場に両手をついたまま身をのけぞらせることになった。  両方の乳首を弄っていた土岐の指が、粒を押し込めるようにグリグリと強く捏ね回したから。  同時に、うなじに軽く歯が立てられて、そこから背筋にビリッとした痺れが走っていく。 「可愛いことを言う」  うなじに唇を押しつけたまま、土岐が呟いて。  「ふふっ」と低くこもった笑いが、その吐息で皮膚の薄い部分を熱く濡らした。 「ぁっ……はぁ、っ」  熱い。熱いよ。波しぶきで濡れてるのに。俺の身体、すごく熱い。 「こっち向け」  岩場に爪を立て、うなじから背筋へと走り抜けた快感を必死で逃がしていた俺の身体が、くるっと反転した。薄く笑った土岐の手によって。 「武田?」  眼鏡越しじゃない素の黒瞳が色っぽく細められ、その視線が、土岐に見惚れていた俺の無防備な意識を艶やかに絡め取ってきた。 「後ろ向きのほうが、一度にたくさん可愛がってやれるのに。それでも、俺と向かい合いたい?」  色めいた声色が、俺を捕らえたまま甘やかに問いかけてくる。誘惑するように。  良かった。俺、これを言いたかったんだ。 「う、うん。正面から向かい合って、抱き合いたい。そんで、お前とたくさんキスしたいん……っ……ぁ、んっ」  やっと言える、と張り切って伝えてたのに、その途中で、またさえぎられた。  でも、いい。満足だ。望んでたものは、今、与えられた。  正面からきつく抱きすくめてくる土岐にしがみついて、舌を絡ませ合うことができてるんだから。

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