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第13話 執事の教え
秀一郎は、朔哉のスペンサージャケットのボタンを外してシャツの前を広げる。肌の具合を確かめるように、てのひらで朔哉の上半身を味わう。
朔哉は身悶え、秀一郎から逃れようとした。
躯の奥から沸き立つ気持ち良さに耐えられない。
痴態を晒しては秀一郎が嘲笑うのではないか。冷静にと思っていても、素直な躯はみっともないほど悦んでいる。
「ん、んっ、はあ……あ」
「吸い付くような手触りだね……抱き心地良さそうだな……」
「あ、あっ……ありがとう、ございます……つ、う……や! あ、あ……」
右の胸の突起を、やや力任せにひねられた。
「ん……あ……い、いた……い。いた、い」
「朔哉くんは、ここ弄ったことない?」
「……はい……先代から、躯の手入れだけをするように教わりました……」
秀一郎に攻められながら、父の言葉を思い出した。
『躯に、あまりふしだらなことを覚えさせないように。私たちが戸惑う姿を見て、相手は愉しむんだ。繰り返し床で抱かれて知っていけばいい』
朔哉には、わかることとわからないことがあった。
躯の震えを秀一郎に知られているかもしれない。だから、秀一郎は自分勝手に朔哉を抱こうとしないのではないか。朔哉の反応を確かめているようだった。
「へえ。自慰もしたことない?」
「己を律するようにと、常に言われていたので……そういった行為は……」
「我慢してたの?」
「いえ。適度に……行うようにと。みだりに躯を求めないようにするために」
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