7 / 100
第7話
「分かったよ。それより唯人、ここ早く出ようぜ」
俺は鼻と口を抑えながら言った。
自制心には自信があるが、たいして広くもない部屋の中で何人ものヒートの香りを嗅がされて、我慢の限界だった。
唯人は舌打ちすると、俺の肩を抱いて、部屋から出た。
俺がほっと息を吐くと、唯人は隣の部屋の扉を開けた。
そこには誰もいなかった。俺を部屋に押しこみ、唯人も入ると内鍵をかける。
「悪かったな。いくら知らなかったとはいえ、こんなとこ連れてきちまって」
「別にいいよ。唯人も被害者ってことだろ」
俺はそう言うと、でかいソファに座った。
唯人は隣の部屋で起きたことに不快感は表してはいたが、驚いてはいなかった。
ああいうのに、慣れてんのかもな。
そりゃあんなこと何度も経験したら、俺のオメガはか弱い生き物って自論にも頷けないよな。
アルファの下で、嬉しそうに誘うオメガの顔を思い出し、俺は頭を振って気持ちを切り替えた。
そんな俺の隣に唯人が座り、いきなり俺の股間を握る。
「何すんだよ」
「だって、お前、これどうすんだよ。このままじゃ、帰れないだろ?」
俺は唯人の言葉で視線を下げた。
ヒートにあてられたせいで、俺のジーンズの一部が盛り上がってしまっている。
「んなもん、お前だってそうだろ」
真っ赤になって言い返すと、唯人は甘い笑みを浮かべた。
「そう。だからさ」
唯人が俺のジーンズのチャックを降ろし、手早く下着ごとずり下げる。
勃ちあがっているモノを長い指でキュっと握られた。
「唯人。まずいって」
俺の言葉に唯人がくすりと笑う。
「お前、毎回、飽きもせずに同じことを言うな。まずくなんかない。こんなの浮気にも入らないじゃないか」
そう言って、握りこんでいた手をゆっくり唯人が上下させた。
「ああ」
俺の喉から思わずかすれた声が漏れた。
「俺のもして」
耳もとで囁かれ、俺はぎこちない手つきで唯人のジーンズを脱がせ始めた。
唯人と二人で飲んでいる時、たまにこういう風になることがあった。
唯人が言うには、男子校ではこんなの当たり前のことらしい。
「自分でするより、他人にやってもらった方が気持ちいいだろ。男同士だとお互いのイイところも分かってるし」
そう言って唯人は初めから俺の性器に躊躇なく触れた。
ともだちにシェアしよう!