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第16話

「子宮なんてあるかっ。ああっ。あん」  唯人がくすりと笑って、目の前にある俺の乳首を摘まみながら、腰を回す。 「イイ。それ気持ちイイ」  俺が喘ぐと、唯人はキスしながら同じ個所を責めたてた。 「出すぞ。和希」 「うん。あっあっ」  唯人が奥で腰を止め、熱がまき散らされたのを感じた。  唯人が腰を引くと、ぽたぽたと白濁が俺の後口から落ち、床を汚す。 「熱い」  俺はそう言って自分の腹を撫でた。  そんな俺を唯人が欲望の炎が灯った瞳で見る。  唯人は俺を立たせると背後から抱きしめ、奥の壁に手をつかせた。  濡れた屹立を、また俺の体内にねじ込む。 「ああ、んっく」  唯人が腰を振る度、俺の中は勝手に締まった。  認めたくないが俺の後口はすっかり唯人の大きさに慣れ、歓喜して受け入れている。  唯人が俺の胸の尖りに軽く爪をたてながら、うなじを舐めた。 「イイっ。あん」  唯人は俺の耳を甘噛みし、奥を細かく責めたてる。 「愛してる」  そう呟く唯人の声が聞こえた瞬間、うなじに痛みを感じた。  俺はその時、確かに微笑んだ。  馬鹿だなあ、こいつ。アルファのうなじを噛んだって、なんにもならないのに。  そんなことを考えながら、俺はそのまま意識を失った。  目を開けると見慣れない天井だった。  起き上がり辺りを見回す。  どうやらここは病室で、俺は個室のベッドに寝かされていたらしい。  ベッドの柵には患者番号と俺の氏名が記入されていた。  右手の甲に点滴の針が刺さっているのに気づき、俺はそれを見つめながら、自分の身に起こったことを思い出していた。  体が突然熱くなって甘い匂いを感じた途端、ひどい興奮の波に襲われた。  そしてそれを唯人に気づかれて、俺達は……。  俺は唇を噛むと、左の拳で思い切り布団を殴った。  一体俺の体はどうしちまったんだ?  あの高熱がきっかけで俺の体はおかしくなったのだろうか。  そうだとしたらあの時、無理をしてでも病院に行っておけば良かった。  そんなことを考えていると、個室のスライドドアが開き、父親が入ってきた。

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