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第28話

 唯人は微笑むと、俺を抱きあげ、ベッドに運んだ。 「それじゃ、愛を確かめあいますか」 「待てって。だから、俺は」 「とりあえず今日は黙って俺に抱かれろ。嫌なこと、全部忘れさせてやるから」  そう言って唯人がベッドで膝立ちのままTシャツを脱いだ。  唯人の逞しい胸板に思わず目が釘付けになる。唯人が俺に覆いかぶさった。 「好き。和希。大好き」  そう耳元で囁かれると、俺の体から力が抜ける。  正直、今だけは唯人に抱かれて、我を忘れ、嫌なことから逃げてしまいたいという気持ちもあった。 「今日だけだぞ」  にんまりと唯人が笑った。    唯人が俺の耳たぶに口づけ、唇を少しずつ下にずらしていく。  乳首を唯人の固い指先で摘ままれ、俺は小さく啼いた。 「ピンクで可愛い乳首」  唯人が夢中になってそこを吸う。 「あっ、あっや」  俺の股間が緩く勃ちあがる。  唯人がそれをするりと撫でた。突然、唯人が俺の股間に顔を伏せる。 「いいって。やめろ、それ」  静止も聞かずに、唯人が俺の屹立を口いっぱいに頬ばった。  初めて知る直接的な刺激に、俺の腰がカクカクと揺れる。 「あっ、ダメ。いっイイ。イク、イッ」  俺が放つと唯人はそれを飲み干し、顔を上げた。 「信じらんねえ。よくそんなことできるな」  口の中に放ってしまったのが恥ずかしくてぶっきらぼうに言うと、唯人がにっこり笑った。 「できるよ。だって愛してんだもん」  俺が口をパクパクさせ、頬を染めると、唯人がそんな俺に笑顔でキスをした。  唯人は俺の後口を舐め、ほころんできた後口のふちを舌でたどった。 「んっ、あ、んんっ、あっ」  そんなところで感じてしまう自分を恥ずかしく思いながら、漏れる声を止められない。  唯人はそこに唾液をまんべんなくまぶすと、指を内部に二本突き入れた。  中を抉られるのは堪らない快感だった。  ただ自分はずっと抱くほうだと思っていたから、気持ちいいと素直にさらけだすのは恥ずかしい。  下唇を噛みしめる俺に唯人がキスをする。 「好きだ。お前だけだ。愛してる、和希」  唯人にそう囁かれると、強ばっていた俺の体と心が蕩けていく。  唯人の逞しい首に両腕を回し引き寄せると、唯人が笑ったのを感じた。

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