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第30話

 唯人が自身を引き抜くと、俺の顔にキスの雨を降らせる。  最後に濃厚に口づけられ、息苦しかった俺は唯人の肩を叩いた。  ようやく唯人の顔が離れる。 「もう、しつこい」  唯人は俺の言葉を無視し、俺を背後から抱きしめるとガーゼの上からうなじに口づけた。 「なあ、もう一回しようぜ」  唯人が俺の腰に硬く濡れた屹立を押し当てる。  俺は首だけ振り返ると、笑みを浮かべる唯人を冷めた目で見つめた。 「やだ。今日はもうしない。疲れた」  実際、長大なモノを受け入れた俺の後口は、じんじんと痺れていた。  その言葉を聞いて、唯人が捨てられた子犬のような瞳で俺を見る。 「しない」  唯人のそんな表情に心奪われながら、言い聞かせるようにはっきりと言った。 「分かった。じゃあ、俺が一人でするの見ててもらっていい?」  唯人はそう言うと、ベッドの上で胡坐をかいた。 「俺が手でしようか?」  頼んだわけではないが、唯人に自分の白濁を飲ませたことが気まずくて、そう申しでた。 「いい。疲れてんだろ?和希はそこで寝ててくれるだけでいいから」  そう言うと唯人は、すっかり勃ちあがっている自分のモノを握りしめた。 「んっ」  唯人が手を上下させる。  唯人の口から漏れる吐息を聞くだけで、後口が疼くのが分かった。  太い幹に浮かんだ血管に、とろみを帯びた雫が垂れるのを見て、俺はごくりと唾を飲んだ。  唯人は俺に見てろなんて言ったくせに、自分は俯き、俺の方をちらとも見ない。  どんな顔して、やってんのかな。  俺は自分も股間を昂らせながら、唯人にそっと近づいた。  気配を感じたのか唯人が顔をあげる。  俺と目が合い、驚いた唯人が思わずのけぞる。    どさりと音がし、唯人が頭からベットの下に落ちた。 「痛ってー」  後頭部をさすりながら、体を起こす唯人を見て、俺は声をたてて笑った。  笑いすぎて腹筋が痛くなる。

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