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第46話
「唯人。ごめん、あのな……」
ちゃんと説明しようとした俺の後頭部を唯人が掴み、無理やり口づける。
その瞬間、口の中に錠剤を流しこまれた。
驚いた俺はそれを飲み下してしまう。
「唯人。なに飲ませた?」
噎せながらそう問う。
唯人は無表情に答えた。
「すぐ分かる」
「すぐって、えっ」
体が熱くなり、息が乱れた。
自分の体から甘酸っぱい香りが漂う。
「効いてきたな」
「なっ、これ」
「ヒート誘発剤」
普通は医療用にしか処方しないはずの薬だった。
俺は唯人を睨みつけた。
「どうしてお前がこんなもの」
「いつか必要になるかもしれないって医者の知り合いに譲っておいてもらったんだ。和希が言うことを聞かない時の、躾用にさ」
「俺はお前のペットじゃねえ」
こんなものを勝手に飲ませた唯人を殴ってやりたいと思うくらい、俺が腹がたっていた。
しかし熱に浮かされた体は力が入らず、言うことをきかない。
「ほら、和希。辛いんだろ。素直になっちまえよ」
唯人が俺の頬をなで、首に口づける。
「あっ、はあぁ」
唯人は焦らす様に何度もそこに音を立てて口づけた。
唯人のムスクの香りに包まれて、俺は腰が蕩けそうだった。
俺は唯人の膝をまたいで座ると、唯人の唇を舐め、口内に舌を入れた。
唯人が俺の舌を噛み、吸う。
唯人が俺のシャツの中に手を入れ、乳首を摘まむとコリコリと弄び、乱暴に引っ張った。
「ひぃん」
それだけで俺の下着の中がぐじゅりと湿ったのが分かった。
たくさんの視線を感じ、どこかから唾を飲みこむ音が聞こえる。
「唯人、頼むから」
こんなことになった原因の奴に懇願するのは、怒りを覚えるが仕方ない。
人前でセックスするなんてまっぴらだった。
ぱたぱたと駆けだす足音が聞こえる。
どうやら美鈴が部屋から出ていったようだ。
それに少しほっとしていると、唯人が何もかも見通してるような瞳で俺を見つめる。
「二人きりになりたいなら、ちゃんとお願いして。和希のせいで俺、傷ついたんだから」
唯人がそう言って自分の赤くなった頬を指さす。
叩いたのは悪かったが、こんな仕返し最低じゃないか。
そう思ったが、逆らっている余裕なんて今の俺にはなかった。
ちゃんとしたお願いなんて分からないまま、唯人の頬に口づけ、慰撫するように舐める。
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