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第48話

「あっ、イイ。腹の中熱くて。溶けちゃう」 「俺もイイぜ。和希。最高だ」  唯人の両頬に触れ、唇を近づけると、唯人が噛みつくようにキスをした。  くちゃくちゃと上下の口からあられもない水音が部屋に響く。 「中にだしていいか?」  そう問われ、俺は何度も頷いた。 「ちょうだい。熱いのかけて……ああああっ」  唯人が奥で腰を止めると、熱を放った。  馴染ませるように上下に腰を動かされ、俺は感じすぎて怖くなり「やあ」と首を振った。   唯人がむずがる俺に口づける。  俺は唯人の首に両腕を回すと、唯人のくれる溢れんばかりの唾液を全て飲んだ。  唯人が俺の額に口づけ、真剣な表情で俺を見つめる。 「和希。愛している。お願いだから、俺を選んでくれ」  唯人はそう言うと、誓うようにそっと俺の唇にキスをした。  ホテルでの屈辱的な出来事から、二週間。  俺は一度も唯人と口をきいていなかった。    唯人からの電話は着信拒否、メールは読まずに削除していた。  大学で俺を見つけると、唯人は走り寄って来ては謝罪の言葉を何度も口にする。しかし俺は唯人がまるで透明人間であるかのように完全に無視していた。  項垂れた唯人の表情を見ると一瞬、「もう、いいよ」と言ってしまいそうな自分もいるが、されたことを考えると簡単には許せそうになかった。  大学でもホテルの一件は広まっているらしく、俺には「唯人を体で篭絡した卑怯なオメガ」なんて不名誉なあだ名までつけられてしまった。  遠くからにやついて俺を指さす学生に遭遇する度、俺は唯人を一生許さないと誓うのだった。    学食でカツカレーを掻っ込んでいると、隣の椅子が引かれた。  座った男の顔を見て、俺は目を見開いた。  以前食堂で俺にオメガになったことを尋ねたばかりに、唯人に追い払われた同じゼミの男だった。

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