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第50話

 メンバーの中に料理ができる奴はいなかったのだろう。  机の上にはスーパーやコンビニの総菜がパックに入ったまま並んでいた。  そういうことなら俺も何か買ってくるんだったと後悔した。  あとでつまみが足りなくなったら、俺が買い出しに行こう。  そんなことを考えながら俺が座敷に上がると、三菱がビールジョッキを渡してくれる。 「じゃあ、久我山が来てメンバーも揃ったことだし、改めて乾杯するか」  三菱が俺の隣で立ち上がる。 「ええ。では三井に店を貸してくれた優しいオーナー夫妻に乾杯っ」 「乾杯」  全員でジョッキをあわせた。    久々の飲み会は楽しかった。  三菱は盛り上げ上手で、みんなに的確につっこみ、場はすぐに笑いに包まれた。  いくら飲んでもただということもあり、飲むペースがみんな速い。  俺もジョッキを四杯ほど空けた時、隣にいた三菱がいきなり肩を組んできた。  俺は三菱に寄りかかりそうになり、慌てて体勢を整える。 「何だよ、三菱。もう酔ったのか?」  こちらをむく三菱の顔は赤らんでいた。 「まあね。けっこう飲んだし。それより、お前さあ、どうなってんの?体」  俺は一気に酔いが醒めた。 「なに言ってんだよ」  俺が無理やり笑うと、三菱は俺の肩に回した腕に力を込めた。 「えっ、だってさあ。オメガって勝手に濡れんだろ?ここが」  三菱がもう片方の手で、俺の尻を撫でる。 「ちょ、やめ」  俺がもがくと、三菱は俺の体を両腕で拘束した。 「暴れるなって」  三菱が耳障りな笑い声をあげる。 「おい、ちょっとやりすぎじゃね?」  前に座っていた三井が口をだす。 「はあ?いい子ぶるなよ。お前だって、オメガに変わった久我山の体に興味あるって言ってただろ」 「それは……」  気まずそうに三井が俯く。 「お前らみんな知りてえんだろ?城ケ崎が夢中になってる体がどんなもんか」  そう言って三菱が俺の着ていたTシャツをまくり上げた。  胸までさらされ、怒りで俺の目の前が真っ赤に染まる。  傍で唾を飲む音が聞こえた。 「やめろ」  何度叫んでも、三菱の拘束は緩まない。

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